メッツコーラのヒットが牽引?2012年度の飲料市場は拡大

2013年12月02日 06:49

 矢野経済研究所によると、2012年度の飲料市場規模(牛乳・乳飲料を含む)は、前年度比101.6%の4兆9420億円となった。国内の飲料マーケットは10年度以降、3年連続で拡大している。

 背景にはここ数年、需要の高まる夏場が猛暑であることが影響している。また、2011年の東日本大震災時に行われた生産調整が元に戻り、当時、延期された新商品が今になって市場の拡大を牽引している部分もある。

2012年度は、特にヒット商品が多かった。なかでも炭酸飲料が好調で、全体の売上高を押し上げたようだ。炭酸系ではここ数年、「カロリーゼロ」などの「ゼロ系」飲料が人気を集めていた。これまではダイエット志向の若い女性をターゲットとしたものが中心だったが、2012年は「30代以上」をターゲットにした、キリンビバレッジの特定保健用食品(トクホ)コーラ飲料「メッツコーラ」が大ヒット。同社の開発チームは、コカ・コーラやペプシなど強力なライバルにはない特徴=「史上初の特保のコーラ」を売りにするため、幾度も研究を重ねたという。結果的に当初の計画を大幅に上回る大ヒットとなり、累計2億本以上を売り上げた。キリンは「トクホ系炭酸飲料」という新しい分野を開拓したといえる。

 ほかにも2012年度は、新商品の「当たり年」だった。サントリーフーズによる、30代以上の大人向け炭酸飲料「オランジーナ」は、発売1カ月後に当初計画の2400万本を突破するなど大ヒット。お茶系飲料では、日本コカ・コーラの「太陽のマテ茶」が発売後2カ月で4000万本を超える販売を記録した。健康ブームから、「1日分」の栄養素が摂取できるとうたった野菜飲料なども引き続き好調だった。

 少子化の中でも、猛暑の影響などから国内飲料マーケットは今後も拡大していくことが見込まれる。矢野経済研究所では、2013年度の飲料市場規模を、前年度比102.7%の5兆750億円と予測している。(編集担当:北条かや)