その勢いはとどまることを知らないかに思われていたソーシャルゲームだが、今年、そうした状況に変化が表れ始めた。それを象徴するのが、今年の10月に発表されたGREE<3632>の経営悪化を受けての希望退職者募集ではなかっただろうか。GREEは10月9日から28日までの間に、200人の希望退職者を募り、これに対して全社員の12%にあたる205人の応募があったことが11月5日の発表で分かった。
GREEは2013年4~6月期、上場以来初めてとなる最終赤字を計上した。その原因として、海外の拠点閉鎖やゲームタイトルの不信が挙げられる。GREEの田中良和社長は「ソーシャルゲームは世界で通用する」と述べて海外進出をしたものの、イメージしたような成果を挙げることは叶わなかった。
また、「Mobage(モバゲー)」を運営するDeNA(ディー・エヌ・エー)<2432>は11月に13年4?9月期(第2四半期)の連結決算を発表し、それによれば売上収益は前年比2%アップの998億円、営業利益は前年比17.4%ダウンの320億円、四半期純利益は前年比14.9%ダウンの184億円であった。営業利益が減少した理由として、「利益率の高い国内『Mobage』の内製・協業タイトルでの売上収益が減少したこと等により、前年同期比で営業減益となった」とコメントしている。
一方ドワンゴ<3715>は、11月に発表した13年9月期の連結決算によれば、最終利益が22億7100万円と黒字転換。なお、前期は5億600万円の赤字だった。モバイル事業の売上高は0.8%ダウンの359億円だったものの、営業利益は58.3%アップの21億円、そして経常利益は78.4%アップの22億円だった。こうした増収増益の背景には、「niconico(ニコニコ動画)」のプレミアム会員の増加といった要因がある。しかし、モバイル事業やゲーム事業に関しては減収減益となっている。
こうした代表的な3社の状況から鑑みても、この先ソーシャルゲームが順風満帆に成長し続けているとは必ずしも言えない状況ではあるわけなのだが、しかしその一方で野村総合研究所(NRI)<4307>は、ソーシャルゲームの市場規模は13年が6099億円、14年が6535億円、18年が8328億円と、年平均成長率6.4%で拡大すると予測している。その成長にいくらかの陰りは見え始めたものの、まだまだ拡大傾向は続くことが予想される。(編集担当:滝川幸平)