日本国内で昨年2013年1年間に出荷されたビールは国産・輸入あわせて2億1668.9万ケース/前年比98.3%(ビール酒造組合)で1994年をピークに暫減傾向に歯止めはかかっていない。2001年にやや回復基調が見えたかと思われたが、以後も緩やかながら減少している。
ここの統計には表れていないが、アサヒビールの速報によれば、昨年の国内ビールは約2%程度縮小。発泡酒は5-6%マイナス、新ジャンルは2-3%前年を上回ったとされ、ビール類全体(ビール、発泡酒、新ジャンル合計)として1%程度のマイナスとみている。
各メーカーのビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)販売数は公表した数値だけを掲載するが、アサヒビールが1億6320万ケース(前年比100.0%)となり12年振りに前年を超え、サッポロビールも数量未公表だがビール類で前年比100.4%となった。
また、サントリー酒類のビール事業発表によると、ビール類6348万ケース(103.0%)と過去最高となった。キリンビールはビール5316.8万ケース(96.2%)、発泡酒4125.6万ケース(95.2%)、新ジャンル5641.5万ケース(100.0%)でビール類合計1億5083.9万ケース(96.7%)である。
こうして数値だけを見ると、キリン以外のメーカーはビール類販売減少傾向で踊り場ともいえる次期になったのか、と思える。とくに各社とも好調だったのが、中元・歳暮のギフト需要で、なかでも「スーパードライ・プレミアム」をギフト展開したアサヒ、やはり新プレミアムビール「コクのブレンド」で歳暮ギフト限定戦略が当たったサントリーが牽引したようだ。サッポロの「エビス」ギフト需要で売上を引き上げたとしており、高価格帯プレミアムビールと新ジャンルにヒット作が不足したキリンがやや苦戦したと言えそうだ。
2014年をビール各社がどう見ているのか? これも2013年の傾向を強化する策がほとんど。アサヒの「プレミアムブランド販売促進と新ジャンルの強化」、サントリーの「プレモルの販促強化と金麦のアピール」に尽きるという方策がほとんどだ。
ただし、時代の要求から「プリン体オフ&ゼロ」や「糖質ゼロ」をキャッチフレーズとする健康志向ビール類のトレンドはますます先鋭化しそうで、各社とも積極的な販売促進および新製品開発競争が激化しそうな雲行きだ。
国内ビール各社における事業の大きな柱はグローバルな総合酒類産業を標榜する方向でほぼ一致しており、ビール事業は中枢ではあるが、総合酒類・一般食品・飲料に及ぶ事業の拡大にある。一昨年からのキリンによる海外企業の買収や、先頃発表となったサントリーの米ビーム社買収など、国際的な合従連衡がますます進む模様だ。(編集担当:吉田恒)