5日、武田薬品工業<4502>は2014年3月期の連結営業利益予想を上方修正したと発表。前年比22.4%アップの1500億円とし、これまでの予想の1400億円よりも7.1%アップの上方修正を行った。こうした上方修正の背景には、経費削減の順調な進捗による影響があるとみられる。今期には、300億円以上の経費削減が実現可能とのこと。
武田薬品工業では「プロジェクトサミット」と呼ばれる経費削減策が実施されており、18年3月期までに累計で1000億円の経費削減を目標としている。
13年4~12月期では通期営業利益見通しを超過したが、しかし1~3月期には新製品の市場浸透と強固なパイプライン構築のための販売費用や、研究開発費などが増加するとみられており、それ以外にも、1月にアメリカが開始された大うつ病治療薬「ブリンテリックス」の販売費用などが発生する予定だ。
4~12月期の連結営業利益は前年同期比12.4%アップの1693億円であった。通期予想に対して進捗率は112.9%であった。また売上高は前年同期比8.2%アップの1286億円であった。
また為替円安の影響を受け、連結売上高予想もこれまでの予想の1兆6800億円から引き上げ、前年比8.5%アップの1兆6900億円とした。
1~3月期の想定為替レートは円安方向に見直しを行い、1ドル105円、1ユーロ140円と想定しており、通期の場合では1ドル100円、1ユーロ133円と想定している。従来の予想では、通期で1ドル99円、1ユーロ129円としていた。
糖尿病治療薬「TAK875」の開発が中止されたことは、中期成長戦略には大きな影響を及ぼさないとの認識を示しており、むしろ研究開発費や販売費用といった経費がなくなったことで、それらの費用を成長に向けた再建投資に回すことが出来、そのギャップは埋めることが出来ると考えている。そして糖尿病領域に関しても、今後もあらゆる可能性を鑑みながら、投資は継続的に行うとしている。
武田薬品工業は18年3月期までに、年平均1ケタ台半ばの売上高成長と、そして20%以上の営業利益成長を遂げることを計画している。(編集担当:滝川幸平)