それを前提に今週の日経平均の値動きを考えるとき、前週に年明け7週目にして日経平均の週間騰落(当該週の最終日終値マイナスその前週の最終日終値)が、初めてプラスの552円高になったことは大きな意味がある。それは下落トレンドから上昇トレンドへの底打ち、転換を推定させるからだ。
株価のトレンドと言えば、誰もが連想するのがチャートの「トレンドライン」だろう。テクニカル分析の方法が数ある中でも最も単純で、日足チャートのローソク足の上ヒゲが突出した個所を結んで「上値抵抗線」を引き、下ヒゲが突出した個所を結んで「下値支持線」を引く。株価が上向きトレンドなのか、下向きトレンドなのかをチャート上のビジュアルで即座に把握できる。下値支持線上の株価で買って上値支持線上の株価で売るのは、リスクを抑えて短期で利益をあげるのに良い方法だといわれている。
2月の日経平均のチャートで、そのトレンドラインを引いてみる。下値支持線の出発点は2月5日の安値13995円で、17日の安値14214円を通過する。その間、7営業日で219円上昇。この下値支持線を延長すると、今週の週央の26日の安値は14433円になる。一方、上値抵抗線の出発点は2月12日の高値14874円だが、18日の高値は14900円、21日の高値は14888円で、14900円付近に「ガラスの天井」がある平行トレンドになる。下値支持線が右肩上がりのトレンドで、上値抵抗線が平行トレンドということは、いわゆる「三角もちあい」のチャートパターンだ。
チャート分析の本によると、三角もちあいには、上値線が下落、下値線が上昇する「均衡」、上値線が平行で下値線が上昇する「先行き強気」、上値線が下落して下値線が平行する「先行き弱気」の3種類がある。前週のパターンは「先行き強気」で、「上昇に向かう可能性が高い」と書いてある。上昇とはつまり「三角もちあい上放れ」が起きるということ。それは「はっきりした上昇トレンドへの転換」を示すとも書いてある。そんなことから、前週のチャートパターンからもトレンドの転換を推定することができる。
その推定を補強するのが、21日の高値14888円が前日の25日移動平均の14934円にあと46円まで迫り、終値時点の25日移動平均が14899円で上値抵抗線まで降りてきたこと。26週移動平均線も14898円で1円違い。今週、この移動平均線の束と「ガラスの天井」の上値抵抗線を一気に上に抜いたら15000円の回復が間近に見えて、上昇トレンドに弾みがつくはず。その上には日足の一目均衡表の雲(15173~15784円)と75日移動平均線(15195円)があって抵抗をみせそうだが、そこまではテクニカル的にこれといった障害は見られない。
G20の結果を好感して24日の東京市場は14900円台にあっさり乗せて始まる。その後は、新興国のGDPの悪化のような外部要因でザラ場中に14500円を割り込む場面もあるものの、15000円を突破すればその勢いで15200円あたりまで上昇する可能性もあるというのが、今週の想定シナリオである。2月は取引が閑散期で先物主導なので前週同様、日々の振れ幅は大きくなりそうだ。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは14500~15200円とみる。もし28日の国内経済指標に良い数字が並べば、1月末の終値14914円を大きく上回って2月はハッピーに終われるだろう。日米のお天気も東京株式市場も長くて厳しい冬の寒さが身にしみたが、ようやく春が近いと感じられそうだ。(編集担当:寺尾淳)