【今週の振返り】クリミア半島と中国で946円も下落した週

2014年03月15日 20:13

0205_036

クリミア半島情勢はプーチン大統領の政治判断次第だが、中国の「伏魔殿」ぶりは百年たっても治らない?

 前週末7日のNYダウは30ドル高。注目の2月の雇用統計の結果は、失業率は6.7%で前月比で0.1ポイント悪化したが、非農業部門雇用者数は前月比17.5万人増で市場予測の15万人増を上回った。ポジティブサプライズと言ってもよく、ドルは上昇し株式市場はJPモルガンやゴールドマンサックスなど金融株を中心に買いが先行した。しかしウクライナ情勢を懸念したヨーロッパの株安や週末要因で上値を抑えられマイナスに沈む場面もあり、NASDAQは下落。10日朝方の為替レートはドル円は103円台前半、ユーロ円は143円台前半で前週末比で円安が進んだ。

 7日のCME先物清算値は15315円だったが、日経平均は76.54円安の15197.53円とマイナスでスタート。取引時間前に国内経済のバッドニュース速報が2件あり。円安要因ではあるが1月の国際収支は貿易収支が2兆3454億円の赤字、経常収支も1兆5890億円の赤字で、昨年1月から1兆2406億円も悪化し過去最大。10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は実質GDPが0.2%増で速報値から0.1ポイント下方修正された。序盤の日経平均は下げ幅を圧縮してもプラスにはタッチできず押し戻される展開。政府税調が法人税率を引き下げる代わりに株式の譲渡益、配当益への課税の強化を検討という報道も足を引っ張った。

 15200円台に戻れずくすぶっていた日経平均は10時台になると15100円台前半で下値を探る動きになる。10時30分に上海総合指数はマイナスでスタートし香港ハンセン指数も大幅に下落して開始。8日未明に全人代開会中の北京行きのマレーシア航空機が消息を絶ってテロではないかと取り沙汰され、8日に発表された中国の2月の消費者物価指数(CPI)は2.0%増で昨年1月以来の鈍い伸び。2月の卸売物価指数(PPI)は2.0%減で2ヵ月連続の下落幅拡大。さらに2月の貿易統計も春節休暇が入ったとはいえ輸出が18.1%減で貿易収支が230億ドルの赤字と、中国もネガティブなニュースばかり。ウクライナ情勢はクリミア半島をめぐり欧米とロシアの対立が深まり、日経平均は一時15100円を割って前引は15121円だった。

 後場も状況は変わりなく、午後0時37分に15088円の最安値をつける。1時頃までに15150円をオーバーしてもあっさり下落して波に乗れず、15100円台前半でもみあう。2時にまたバッドニュース速報。2月の景気ウォッチャー調査の現状判断は1月を1.7ポイント下回り53.0で2ヵ月連続の低下。先行判断は1月の49.0から9.0ポイントも低下し40.0という東日本大震災発生直後以来の低さ。「街角」は消費増税後の反動減をきわめて悲観的にみていることが浮き彫りになった。日経平均は15100円台のまま大引けになり、153.93円安の15120.14円で5営業日ぶりに反落。4日続伸後の調整局面や日銀会合待ちの様子見もあるが、アメリカの雇用統計がポジティブサプライズでも、こんなにバッドニュースが出てきたらとてもかなわない。日中値幅は178円。TOPIXは-9.36の1227.61。売買高は18億株、売買代金1兆7523億円と年度末の3月らしからぬ薄商いだった。

 33業種別騰落率でプラスは建設、空運、精密機器、海運の4業種。下落29業種のうち下げ幅が小さいのはサービス、食料品など。下げ幅が大きいのは不動産、石油・石炭、倉庫、非鉄金属、鉄鋼、保険などだった。

 10日のNYダウは34ドル安で3日ぶりに反落。重しになったのが週末に発表された中国の2月の貿易統計の輸出が18.1%も減少し、消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)もふるわず景気減速懸念が高まったこと。ウクライナ情勢も依然予断を許さない。ボーイング株は1.3%下落した。11日朝方の為替レートはドル円が103円台前半、ユーロ円が143円台前半で、前日朝とあまり変わらない水準だった。

 シカゴCME先物清算値は15230円。日経平均は59.33円高の15179.47円で反発スタート。午前9時5分に15200円にタッチし、9時20分すぎには安定的に乗せる。10時台、11時台は上げ幅100円を超える水準で推移。上海も香港もマイナスで始まっても途中からプラスに転じ、日銀会合様子見の薄商いの中で結果への期待もあったようで一時は15250円を突破して11時3分に15256円の高値を取り、前引は15231円だった。

 正午すぎに日銀の金融政策決定会合の結果発表。金融政策は現状維持、景気判断はほぼ据え置きで、マーケットが期待したものは何も出なかった。先物市場がネガティブに反応して15200円を割り、後場立ち上がりの日経平均現物も同調したが失望売りというほどでもなく15200円台をすぐに回復する。しかし薄商いは継続し、手がかりを失って先物の仕掛け売りにあおられ下落する局面もあり、午後2時5分に15124円の安値をつけるが、かろうじてプラスを維持した。TOPIXは何度もマイナスに落ちる。日経平均は15200円台を回復し、東日本大震災三周年追悼式典で2時46分に黙祷が行われた時間帯は前引水準まで上昇し終値は103.97円高の15224.11円と反発した。日中値幅は132円。TOPIXは+5.60の1233.21で日経平均より上昇が小さい。売買高は18億株、売買代金は1兆6853億円、売買代金は2日連続で薄商いだった。