世界に誇れる日本の長寿を支えているのは日本食であり、現代日本食と比べて1975年頃の日本食の摂取が、老化予防や長生きに有益であることが証明された。がんの発生率も現代日本食などと比べて75年の日本食の摂取群が最も低かった。東北大学大学院農学研究科食品化学分野の都築毅准教授らのグループが明らかにした。
世界一の平均寿命を誇るわが国の長寿の秘訣は“日本食”であることは広く知られ、世界中で日本食に注目した研究が行われている。しかしこうした研究は単一もしくは数種類の食品成分の摂取による影響を調査したもので、これら成分の集合体ともいえる“日本食”の影響を総合的に調べる調査はなされていなかった。
都築氏らのグループはすでに、現代日本食は現代米国食と比べて健康有益性の高い食事であること、さらに時代と共に変わりつつある日本食について、1975年頃の日本食が高い健康有益性を持つことを明らかにしている。
今回の研究では、日本食の長期摂取が寿命にどのように影響を与えるかを調査した。
研究方法はまず、管理栄養士指導の下2005年(現代)、1990年、1975年、1960年それぞれ1週間21食分の日本食の献立を再現し、調理したものを凍結乾燥・粉末化した。それをマウスの飼育食に混ぜて自由に食べさせて、寿命まで飼育した。飼育中に外見の老化評価や学習記憶試験を行い老化の進行を調査。死亡したマウスは直ちに解剖して死因を調査した。
その結果、75年と90年の日本食を摂取したマウスは05年の日本食を摂取したマウスと比べて長寿であった。特に75年の日本食を摂取したマウスは学習記憶試験が良好な成績であり、老化が遅いことがわかった。さらにがんの発生率が最も低いことが認められた。
調査結果から75年ごろの日本食を摂取することは、老化防止や長生きだけでなく、がんの発生率低下にも役立つことが証明された。懐古主義に陥るつもりはないが、ここまで伝統的な日本食の優位性を示されては、もう一度食卓を見直してみたくもなってしまうだろう。(編集担当:横井楓)