西武ホールディングス<9024>は今月23日に予定されている東京証券取引所への株式上場計画で、アメリカの投資会社サーベラスが保有する株式の売却を見送るという発表を9日行った。サーベラスは西武ホールディングスの株式の35.45%を保有していて、予定であれば15%程度の株式を売却し、持ち株比率は20%程度にまで下がるはずであった。これにより売り出しの総式の総数は、8000万株あまりから半分以下となる2782万6000株となった。
西武ホールディングスが9日に金融庁へ提出した訂正臨時報告書によれば、上場の仮条件は1株あたり1600~1800円と、想定価格よりも大きく下回っていた。このことが今回のサーベラスによる保有株式売却の見送りにつながったものとみられる。
こうして西武ホールディングスが仮条件を想定価格よりも下回らせたのは、投資家からの需要が乏しかったためで、予定通りに進んでいればサーベラスは西武ホールディングスの株式上場に伴い保有率を19.9%にまで下げるはずであった。しかし売却を見送ったことにより、筆頭株主は引き続き35%の株式を保有するサーベラスのままである。
サーベラス以外の株主である、日本政策投資銀行や農林中央金庫そしてシティグループ<8710>などは保有する株式を売り出す予定。ただし、こうしてサーベラスが見送ったことにより売り出される株式の数は大幅に減少することとなる。
仮条件の価格に発行済み株式の総数をかけた株式時価総額は5473~6158億円で、これは上場をはたしている首都圏の私鉄の中では、小田急電鉄<9007>(9日終値ベースで6375億円)と同規模のものとなる。最終的な売り出し価格は14日に決定される。また上場日は予定通り23日のまま。
サーベラスは2006年に1000億円を投入し西武ホールディングスへ資本参加した。参加当初は友好関係を築くことが出来ていたものの、12年にはプロ野球球団の売却、そして鉄道の一部路線廃止を巡って意見が対立した。その後13年3月にサーベラスは1株あたり1400円で株式公開買い付け(TOB)を行ったものの、約3%しか追加で取得することが出来ず、目標としていた数値には届かなかった。(編集担当:滝川幸平)