【日経平均】GW明けは外部要因の悪化で424円の大幅安

2014年05月07日 20:28

 大幅安の地合いでも上昇するのは、アナリストの投資判断引き上げ、決算の上方修正、自社株買いの発表を行った銘柄が多い。日立化成<4217>は三菱UFJ証券がレーティング、目標株価を引き上げ16円高。市場予測を上回る好決算をUBSが評価し目標株価を引き上げたローム<6963>は20円高で年初来高値を更新した。ファッション小売のパル<2726>はドイツ証券がレーティングを引き上げ124円高で値上がり率4位。決算上方修正組では、名村造船所<7014>は3月期の営業利益を43億円上方修正し、期末配当も10円から20円に引き上げ74円高で値上がり率1位。栗本鐵工<5602>は3月期決算の売上高、営業利益、純利益を上方修正。純利益は前期比29%増になり6円高で値上がり率14位に入った。自社株買い組の東京ガスは4円高で年初来高値を更新し、小林製薬<4967>も20円高で年初来高値更新。その他、日清食品HD<2897>は大引け後の決算発表を期待され40円高で年初来高値を更新。構内放送用音響機器のTOA<6809>は今期の2ケタ増益見通しを好感され77円高で値上がり率2位に入った。

 ザラ場中に決算を発表した銘柄は、LIXILG<5938>の今期経常利益は過去最高の見通しで市場予測を上回ってもプラスは30分どまりで47円安。三井物産<8031>は今期純利益見通しが市場予測を上回り37円高まで上昇したが、結局値動きなし。両銘柄とも発表日のめぐり合わせが悪かった。HOYA<7741>は決算と同時に自社株買いを発表し54円高。能美防災<6744>は今期の増収増益見通しを素直に買われ31円高だった。

 一方、決算が悪かった銘柄は容赦なく売られる。アップル関連代表格のフォスター電機<6794>の今期は営業減益見通しで187円安になり年初来安値を更新し値下がり率2位。大幅減益決算の出光興産<5019>は下方修正した業績見通しにも届かなくてはマーケットの心証が悪く137円安。石炭の三井松島産業<1518>は今期営業利益が赤字に転落する見通しで16円安で年初来安値を更新し値下がり率4位。ワタミ<7522>は今期、上場以来初の最終赤字転落見通しで不採算60店舗を閉鎖すると発表。143円安で年初来安値を更新し値下がり率6位だった。

 コーナン商事<7516>は輸入家電の安全性の問題が浮上して自主回収を発表し14円安で年初来安値更新。JBR<2453>は「子会社の売上計上について懸念がある」と監査法人から指摘があり決算発表を延期するという事態発生でストップ安比例配分の80円安で値下がり率1位。監査法人はきちんと仕事をしているが、本来それが当たり前。

 この日の主役は久々の保育関連銘柄。昨年春頃は「少子化対策」「女性の活用」にからむ人気テーマだったが、厚生労働省が株式会社による保育施設の運営を認めるよう自治体に通達した後の株価は落ち着いていた。「こどもの日」の5日付の日経新聞が、保育サービス大手が認可保育所開設のペースを上げ、政府の「待機児童ゼロ」の目標年度2017年度までに主要4社で160カ所を新設し約1.4万人分の利用枠ができると報じ、記事に出ていたJPHD<2749>は6円高、サクセスHD<6065>は19円高。保育事業に参入しているピジョン<7956>は50円安だったが、ベネッセHD<9783>は10円高。3年後までに待機児童の6割強が入所できる計算だが、その間の労働市場の機会損失は小さくない。保育施設は経済成長のためにも、「50年後に人口1億人維持」という少子化対策の中・長期目標を達成するためにも、官民が協力して整備を急ぎたい社会インフラである。(編集担当:寺尾淳)