出生率2年連続で増。しかし出生数は過去最少

2014年06月07日 07:45

 「子は宝」というが、それはなにも子供を持つ親だけに限った話ではない。国にとっても将来の経済の担い手である子は「宝」であり、なくてはならない存在だ。しかし経済の先行きの不安からか若い世代の間では子供を持たない夫婦が増えているという。そうして子供を持つ、持たないは各々の価値観によるところが大きく、今の時代の価値観では必ずしも子供を持つことが良く、持たないことが良くないとは言い切れなくなってきているが、しかし国や経済の成長、また年金制度の維持などのためには、その「宝」が必要なことは間違いない。

 そうした子供の数の増減具合を判断する一つの指針として出生率があるが、4日に厚生労働省が発表した「人口動態統計月報年計(概数)」によれば、2013年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生むとされる子供の人数)は前年よりも0.02ポイント上昇して1.43であったことが分かった。こうして出生率が上昇するのは2年連続のことで、1996年の1.43以来17年ぶりとなる水準にまで回復した。こうして出生率が上昇した背景には、晩婚化に伴い30代になってから子供を出産する30~40代の団塊ジュニア世代の存在が挙げられる。

 ただし出生数は7431人マイナスの102万9800人で、統計を開始した1899年以降、最も少なかった。また20~29歳の各世代の出生率も低下した。

 都道府県別に見てみると、11年3月の東日本大震災により発生した福島第1原発事故の被害を受けた福島は、12年には前年よりも0.07ポイント減少の1.41と落ち込みをみせたものの、13年には1.53と大きく回復。出生数も776人増加した。また東京は前年よりも0.04ポイント上昇し1.13、大阪は0.01ポイント上昇し1.32であった。

 合計特殊出生率は05年に1.26にまで低下したものの、その後は横ばいから上昇傾向が続いている。しかし人口を維持するために必要な水準は2.07とされており、今回の1.43という結果は決して楽観視できるものではない。また出生数が前年よりも7431人減って過去最少の102万9800人であったのに対して、死亡数が1万2000人増えて126万8400人であったことからも分かるように、まだなお人口減少は続いている。(編集担当:滝川幸平)