子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現を Teach For Japanの挑戦

2014年06月22日 10:31

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Teach For Japanは教育格差の是正を実現するために教師派遣事業と学習支援事業を全国で展開している

 Teach For Japanという団体がある。「ソーシャルイノベーション」、「社会起業」の業界ではよく耳にする名前だ。日本のための教育?日本教育?どのように訳せばいいのか、そして、いったい何を行っている団体なのか。

 その前にアメリカでの事例を紹介しておこう。Teach For Americaは1990 年にプリンストン大学生によって設立された非営利団体である。貧困などで教育の質が低い地域の学校に、一流大学の卒業生を2年間の常勤講師として派遣する。そして、派遣された常勤講師は子供たちの学習のサポートを行っている。低い給与水準(年収2万5千ドル )であるが、社会への貢献を選択する学生が増えているというのである。アメリカの文系学生の就きたい仕事ランキングで上位に入り、多くの名門大学生も応募に殺到する。グローバル企業の採用内定をもらった学生が、就業前にプログラムに参加することを認めている。創設者のウェンディ・コップがアメリカ国内の教育格差について持っていた問題意識をもとにこうした活動を行っている。

 話を戻してTeach For Japan。この団体は、「Teach For Americaと連携の下、同様のプログラムを日本において実現することを目的に、10年7月に設立」(サイトより)された団体である。Teach For Japan は「ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現」をミッションとし、教育格差の是正を実現するために教師派遣事業と学習支援事業を全国で展開している。実際、放課後を活用した学校外での学習支援プログラムは現在、年間40拠点、831名の児童生徒が参加している。また、11年には11名のフェローが関西・関東の小中高校で教師として赴任を開始しており、授業の担任・副担任として活動して居るなど、着実に一歩を進めているとのこと。

 日本のような教育委員会を中心にした教育の世界でどのように活動していくのか、どういった役割を果たすのか、そして、どのように成果や可能性を残していけるのかが期待される。(編集担当:久保田雄城)