追悼、音速の貴公子“セナ”。その「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」が世界最大の広告賞を受賞

2014年06月26日 12:18

Ayrton Senna 1989

アイルトン・セナのドライビングを音と光で見せるホンダのコンテンツ「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」が「第61回カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」でグランプリを受賞

 1980年代のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権「F1GP」を席捲し、音速の貴公子と呼ばれたドライバー、アイルトン・セナのドライビングをムービーや3DCGで体験できる、ホンダのコンテンツ「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」が「第61回カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」チタニウム&インテグレーテッド部門にてグランプリを受賞、合わせて8部門で15の賞を受賞した。

 迫力に満ちた音と映像の作成にあたっては、1989年のF1日本グランプリ予選でセナが、鈴鹿サーキットの当時世界最速ラップを出した際に記録された実際のアクセル開度や、エンジン回転数、車速の変化などの走行データを解析して、世界最速ラップ1周分のエンジン音を再現。実際に鈴鹿サーキットのコース上にスピーカーとLEDライトを設置し、セナの最速ラップをエンジン音と光の演出で再現した。このムービーはホンダの「Ayrton Senna 1989」プロジェクトの取り組みのひとつとして作成したという。

 「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」は、セナの1周分の走行を光と音で再現したムービーとメイキング映像、3D-View、iPhoneアプリ「Sound of Honda」の3つのコンテンツを展開している。左右だけでなく奥行きをも感じさせる音、それに加わる光の映像作品は必見といえる。是非とも音の良いパソコン環境で試聴されたい。

 「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」は、世界3大広告賞のひとつで、数ある国際広告賞のなかでも特に高い評価を得ている。カンヌ国際映画祭の劇場広告映画のコンクールからスタートし、1954年からは独立して開催。今年は、世界中から3万7,000件以上のエントリーがあり、より厳しい競争となるなかでの受賞となった。

 また、国内でもこのコンテンツ「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」が、昨年、平成25年度「第17回」文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞」に選ばれている。

 ホンダとアイルトン・セナの関係は1987年にセナが所属するチーム・ロータスにホンダエンジン供給で始まった。この関係は、セナがマクラーレンに移籍した1988年以降も続き、結局ホンダがF1GPを撤退する1992年までの6年間、セナはホンダエンジンをドライブした。

 レース以外でもホンダとの関係は深く、セナ自身、ホンダの創業者である本田宗一郎を敬愛していたようだ。また、1989年に開発中の市販車NSXのテストに参加し開発陣にボディ剛性の不足を指摘。剛性アップのために追加された部品は通称“セナ・バー”と呼ばれた。当時のホンダ・プレリュードのテレビCMに出演したことも話題になった。

 1994年、長年コンビを組んできたマクラーレンを離れウィリアムズに移籍する。エンジンはホンダではなくルノー製だ。その年の第3戦サンマリノGPの1カ月まえにサンマリノGPが行なわれるイタリア、イモラサーキットをテストで訪れたセナは、タンブレロ・コーナーの路面のアンジュレーション(凸凹)を指摘し、「今年、ここで誰かが死ぬ」と語った映像が残っている。

 1カ月後の5月1日、サンマリノの決勝。タンブレロでアイルトン・セナは命を落とす。(編集担当:吉田恒)