【日経平均】海外株安、円高による一服商状で続落65円安

2014年07月08日 20:12

 UBSが通信大手の投資判断を改め、NTT<9432>はレーティングを上げて95円高で年初来高値更新、KDDI<9433>は目標株価を下げて37円安、ソフトバンクも目標株価を下げて99円安だった。DOWAHD<5714>は4~6月期の営業利益が9%増の106億円という業績観測報道があり7円高。エンジンの電子燃料制御噴射システムの愛三工業<7283>は、公募増資などで最大630万株を発行し51億円を調達すると発表し71円安。発行済株式数の11.3%で財務へのインパクト大とみられ値下がり率2位だった。

 三菱重工<7011>は三菱商事<8058>、国際協力銀行と組んでメスティート社(本社ドバイ)に約4割資本参加すると発表した。同社は中東、アフリカなど世界26ヵ国で浄水場など水事業を展開しており、フランスのヴェオリア社など「水メジャー」に対抗する。三菱重工はフランスの次世代原子炉開発に参画するニュースもあったが2円安で7日ぶりに反落。三菱商事は4円安だった。

 建設コンサルタントのオオバ<9765>が5月期決算を発表し営業利益89.3%増と好調。今期見通しは営業利益37.2%増で、後場急伸し24円高で年初来高値を更新した。日経新聞に住宅大手が新築依存から脱却すべくリフォームで攻勢をかけるという記事が載り、リフォーム拠点を20カ所新設する大和ハウス工業<1925>は1円高だった。

 イワキ<8095>は医薬品事業の外皮用剤が伸び12~5月中間期決算見通しを上方修正。29円高で年初来高値を更新し値上がり率2位になった。「極ZERO」の酒税問題を処理したサッポロHD<2501>は野村證券がレーティングを引き上げ12円高。サントリー食品<2587>は「トクホ」の売上が5倍で1~6月期の営業利益は16%増で過去最高更新という業績観測報道があったが45円安。建設中の群馬工場がコンビニ弁当・総菜の製造設備に40億円を投資し約360人を新規雇用するキューピー<2809>は、みずほ証券が目標株価を引き上げ3円高だった。

 雇用情勢好転やベアで結婚に踏み切るカップルが増えたのか、結婚・婚約指輪が好調でヨンドシーHD<8008>の3~5月期決算は純利益43%増の11億円。しかし3日に業績観測報道があったため39円安だった。セブン&アイHD<3382>は、セブンイレブンの業績を評価した野村證券が目標株価を引き上げ7円高。カレー店チェーンの壱番屋<7630>は5月期決算を発表し、今期通期見通しは純利益9%増で2年連続最高益を見込み、配当予想も5円増配で50円高になった。

 JR九州が2016年度末までに上場し、国がその売却益で整備新幹線を建設するというニュースがあったが、JR西日本<9021>はその延長工事が行われる北陸新幹線の金沢駅発で七尾線に観光特急を走らせると発表し13円高。野村不動産HD<3231>は野村證券が目標株価を引き上げて41円高だった。

 NKSJHD<8630>傘下の損保ジャパンが中国での保険事業参入の足がかりに上海汽車と合弁で自動車整備事業に参入すると報じられたが54円安。この日は東京海上HD<8766>が97円安、MS&ADHD<8725>が73円安と損保大手は軒並み安で保険セクターは業種別騰落率最下位になった。沖縄県に過去最強クラスの台風8号が接近中で、ロイズ再保険を窮地に追い込んだ1991年の台風19号を想起させたのが影響していた。

 日経ジャスダック指数は0.13%上昇したが東証マザーズ指数は0.12%下落。新興市場では割安通信関連が依然好調で日本通信<9424>は25円高、ワイヤレスゲート<9419>は160円高で年初来高値更新。東証2部指数は0.67%上昇し7日続伸。FDK<6955>がストップ高の50円高と買われていた。

 この日の話題は「ビッグデータ」。リコー<7752>はウエアラブル端末を活用し、脈拍や血圧などをビッグデータ解析して従業員の健康管理を行う「遠隔生涯ヘルスケアサポート」を企業向けに提供すると発表したが6円安。富士通<6702>は商用車4万台の位置情報を1秒ごとに収集するなどビッグデータ解析を行うシステムの販売を7月中に開始すると発表し2円高。今年はジョージ・オーウェルの小説「1984年」の〃その年〃から30周年だが、そうしたビッグデータを利用する「ビッグブラザー」にとって、温和な労働者の個人情報は体調から現在いる場所まで何でもお見通し、になるのだろうか?(編集担当:寺尾淳)