【日経平均】ポルトガル金融不安が影響し52円安で今週全敗

2014年07月11日 20:37

「電線音頭」は終わらない。沖電線<5815>は売買高1位、売買代金9位に入りストップ高の80円高で年初来高値を更新して値上がり率1位と派手に踊った。東京特殊電線<5807>は売買高7位に入り12円高で値上がり率9位、昭和電線HD<5805>は売買高6位に入り7円高で値上がり率12位。「水素関連」も代表銘柄の三菱化工機<6331>がカムバックし36円高で値上がり率8位、オーバル<7727>も19円高で同13位だった。キヤノンは、4~6月期の営業利益が1割増で市場予測を上回るという業績観測記事が出て売買代金8位に入り77円高。前期の2回の業績下方修正をもたらした元凶のデジカメ販売不振はまだ続いているが、国内も海外も複写機が好調でカバーできているという。

 通信大手は、NTT<9432>は113円の大幅逆行高で売買代金13位。KDDI<9433>も23円高。ソフトバンクは終盤に値を戻していたが6円安だった。アリババは7月中に新規公開手続きを開始する。建設セクターは大成建設<1801>は後場上昇し10円高。大豊建設<1822>は東海東京調査センターが新規に最上位の「1」のレーティング、目標株価550円をつけ、50円高で値上がり率6位、売買高13位になった。

 JXHD<5020>は岡山県の水島製油所に10万KW級火力発電所を建設すると報じられ1円高。NY原油先物は10日ぶり反発していた。今週は地合いが悪く主力銘柄が不振だったが、花王<4452>は74円高で3日連続上場来高値更新。ゴールドマンサックスのレポートが効いていた。マンダム<4917>は4~6月期の営業利益最高35億円という業績観測で15円高。日本ハムは93円高で年初来高値を更新し値上がり率17位に入った。

 前日に9~5月期の決算を発表したJIN<3046>は、営業利益は57%減でも3~5月期だけとれば営業利益は12%、純利益は51%の増益で採算は改善。野村證券がレーティングを「中立」に格上げし447円高で値上がり率5位。明けない夜はない。コジマ<7513>は9~5月期の最終損益が17億円の黒字で1円高。その親会社のビックカメラ<3048>は来春をメドにほぼ全店でデジタル家電の買い取りを実施と伝えられ19円高。スマホなどの中古販売は今後、家電量販店の大きな収益源になるとみられる。

 吉野家HD<9861>は3~5月期の営業損益が8.85億円の黒字と発表した。前年同期は7.56億円の赤字で、株価は15円高。「牛すき鍋膳」が依然好調でうどんチェーン、海外事業も増収増益だった。2015年2月期の通期見通しは据え置いている。

 日本通運<9062>は4~6月期の営業利益が最高100億円の業績観測で1円高。ベネッセHD<9783>は個人情報漏洩問題による客離れを食い止めるため期間限定で通信講座の料金引き下げを検討と報じられたが75円安と続落。ジャストシステム<4686>は名簿はベネッセのものと知らず業者から買ったという報道があり「善意の第三者」かどうかまだわからないが売買代金17位、37円高で値上がり率18位と反発した。ゲーム関連のトーセ<4728>は、9~5月期の経常利益が19.8%減、その8月期通期の見通しも35.2%下方修正しては88円安、値下がり率1位もやむなし。ネクソン<3659>も61円安で同5位だった。

 東証1部は5連敗でも新興市場は日経ジャスダック平均0.43%上昇、東証マザーズ指数0.39%上昇と元気。店名に似合わぬ庶民派の280円均一メニューで人気の鳥貴族<3193>は上場2日目で一時ストップ高の1210円高。終値を8000円台に乗せた。

 この日の主役はファーストリテイリング。前日に9~5月期決算を発表し、国内は消費増税後の反動減も原材料費や人件費の高騰も乗り越え営業利益10%増だったが、アメリカの高級デニム「Jブランド」の業績不振による減損処理に圧迫され通期最終利益見通しを100億円下方修正した。株価は一度もプラスに浮上せず650円安だった。

 この銘柄は「業績と株価が無関係な先物空中戦の〃記号〃」的イメージがあるが、4月にも業績を下方修正してその後、日経平均が14000円そこそこの水準で低迷した経緯がある。日経平均はこの日、欧米の株安、為替の円高という外部要因で主力銘柄の換金売りが盛んでマスクされたが、来週以降は業績下方修正が株価上昇の足かせになり、そのため日経平均株価も思うように上昇しなくなる可能性も、心得ていたほうがいいのだろうか?(編集担当:寺尾淳)