【今週の展望】惜敗が続く状況は、大負けするよりも怖い

2014年07月13日 20:11

 今週、7月第3週(14~18日)は5日間の取引。国内最大のイベントは14~15日の日銀の金融政策決定会合。しかし、4月頃はエコノミストの間でも7月の日銀会合で追加金融緩和が決まるという見方が有力だったが、現在はその期待はほとんどなくなり金融政策は現状維持が濃厚。海外では15、16日のイエレンFRB議長の議会証言も気になるが、アメリカ主要企業の4~6月期決算発表が本格化し日本株にも影響を及ぼしそうだ。

 世界の主要国の株式市場休場日は、14日はフランスが「革命記念日」で休場。「パリ祭」と呼ぶのは日本だけで、首都だけでなくフランス全土の祝日。タイが「カオパンサー(入安居)」の振替休日で休場。カオパンサーは雨期にお坊さんがお寺にこもる仏教行事。15日はマレーシアがイスラム教の「みいつの夜(コーラン啓示の日)」で休場する。

 国内の経済指標は、14日は5月の鉱工業生産確報値、設備稼働率指数、15日は6月の首都圏・近畿圏マンション市場動向、工作機械受注確報値、16日は7月の金融経済月報、17日は7月の月例経済報告、18日は6月の日本製半導体製造装置BBレシオ、全国百貨店売上高が、それぞれ発表される。

 14~15日は日銀金融政策決定会合がある。15日に日銀展望リポートの中間評価も含めて結果が発表され、東証の取引終了後の3時30分から黒田日銀総裁が記者会見を行う。17日は芥川賞、直木賞の受賞作が発表される。18日は6月12、13日開催の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表される。

 主要企業の決算発表は、週後半に4~6月決算の発表が安川電機<6506>、東京製鐵<5423>など先行組から始まる。7月第4週から8月第1週にかけてがヤマ場になる。

 14日はいちごHD<2337>、松屋<8237>、ウエストHD<1407>、レナウン<3606>、モバイルクリエイト<3669>、川上塗料<4616>、佐鳥電機<7420>、ベスト電器<8175>、東天紅<8181>、インテリックス<8940>、リーバイス<9836>、文教堂GHD<9978>、15日はドトール・日レスHD<3087>、TSIHD<3608>、アデランス<8170>、松竹<9601>、タマホーム<1419>、鉄人化計画<2404>、キャンドゥ<2698>、ヴィレッジバンガード<2769>、ウエルシアHD<3141>、白鳩<3192>、市進HD<4645>、日置電機<6866>、小津産業<7487>、サイゼリヤ<7581>、大庄<979>、16日はワイ・イー・データ<6950>、安川情報システム<2354>、総合メディカル<4775>、17日は安川電機<6506>、ブロンコビリー<3091>、18日はリコーリース<8566>、東京製鐵<5423>、日本鋳造<5609>、アルインコ<5933>、ジャフコ<8595>。

 今週の新規IPOは1件。15日にイグニス<3689>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社でスマホ、タブレット端末等向けに「ネイティブアプリサービス」を提供しているIT企業。公開価格は1900円。

 (14日に中央インターナショナルグループ<7170>、15日にはかた匠工芸<3610>が「TOKYO PRO Market」に新規上場しますが、これは東証のプロ投資家専用市場で、証券会社から承認を受けていない一般の個人投資家は上場後に売買を行えませんのでご紹介いたしません。どうかご了承ください)

 海外の経済指標は、16日の中国の4~6月期のGDP、17日のアメリカの6月の住宅着工件数が重要になる。

 14日はユーロ圏の5月の鉱工業生産、15日は英国の6月の消費者物価指数(CPI)、ドイツの7月のZEW景況感指数、アメリカの6月の小売売上高、7月のNY連銀製造業景気指数、6月の輸入物価、16日は中国の4~6月期の国内総生産(GDP)、6月の都市部固定資産投資、小売売上高、鉱工業生産指数、ユーロ圏の5月の鉱工業生産指数、アメリカの6月の生産者物価指数(PPI)、5月の対米証券投資、6月の鉱工業生産、設備稼働率、7月のNAHB住宅市場指数、17日はユーロ圏の6月の消費者物価指数(CPI)確報値、アメリカの6月の住宅着工件数、6月の建設許可件数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、18日は中国の6月の主要70都市住宅価格、ユーロ圏の5月の経常収支、アメリカの7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のCB景気先行指標総合指数が、それぞれ発表される。

 イエレンFRB議長は、15日は連邦議会上院銀行委員会で、16日は下院金融サービス委員会で議会証言を行う。16日にアメリカの「ベージュブック(地区連銀経済報告)」が公表される。19日にオーストラリアのシドニーでG20貿易相会議が開かれる。

 アメリカ主要企業の決算は4~6月期決算がいよいよ本格化する。14日はシティG、15日はJPモルガンチェース、ゴールドマンサックス、インテル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ヤフー、16日はUSバンコープ、バンク・オブ・アメリカ、ヤム・ブランズ、サンディスク、イーベイ、17日はIBM、シュルンベルジェ、AMD、グーグル、モルガンスタンレー、18日はGEが発表する予定。

 前週の日経平均の騰落の星取は黒く塗りつぶされて5連敗し、一昨年11月の国会での野田前首相の「解散・総選挙発言」の翌日に「アベノミクス相場」が始まって以来初めて5日続落した。1年8ヵ月余り続いただけで「アノマリーの崩壊」を嘆くのも大人げないが、そこはかとなく漂う「区切り感」を感じた市場関係者は少なくなかっただろう。強気派は「黒星と言ってもプラスになった時間帯、プラスに近づいた時間帯はあり、惜しい負けが続いただけだ」と言うかもしれない。確かに毎日の下落幅は11~86円で3ケタの大幅安はなく、5日中3日はプラスになった時間帯があった。サポートラインと思われた25日移動平均線も、終値ベースで割り込んだのは金曜日の11日だけである。