【日経平均】前週5連敗の下落分を一時取り戻し98円高

2014年07月15日 20:13

 九州電力<9508>は、川内原発が再稼働の新基準を満たしたと16日にも発表される見通しで12円高。岩谷産業<8088>は兵庫県尼崎市に国内初の商用水素ステーションを開設するニュースがあり58円高で年初来高値を更新し値上がり率8位、売買高8位、売買代金6位。芦森工業<3526>は20円安で4日ぶりに反落し値下がり率1位。それでも売買高2位、売買代金9位と売買が多かった。

 売買が多いと言えば例の電線関連は、売買高4位に4円安の昭和電線HD<5805>、6位に27円安の沖電線<5815>、14位に7円安の東京特殊電線<5807>。それぞれ値下がり率3位、12位、16位と下げてもなお商い盛ん。しかし売買がにぎわう銘柄に最大手の「電線御三家」(古河電工<5801>、住友電工<5802>、フジクラ<5803>)は1つもなく、それを「電線6社」にひろげても昭和電線HDが入るだけ。今の状況は「電線地中化」のような通常のテーマ物色とは全く別物で仕手戦色が濃厚。個人投資家が興味本位で「電線音頭」の踊りの輪の中に入ったら大ヤケドしかねない。前週に初の5連敗を喫し、薄商い症状は治らず、そんな仕掛けまで飛び出してしつこく続くようでは、アベノミクス相場ももう晩年なのか?

 値上がり率1位は連日のダイジェット工業<6138>でストップ高比例配分の80円高。日揮<1963>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて18円高。三井金属<5706>はUBSが目標株価を引き上げて7円高。日立化成<4217>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて21円高。アステラス製薬<4503>は6円高で年初来高値を更新。久光製薬<4530>は三菱UFJ証券が目標株価を引き下げて10円安だった。

 百貨店の松屋<8237>は3~5月期の最終損益が前年同期の赤字から3億円の黒字に転換し74円高で値上がり率12位。3月は高級品の駆け込み需要、4月以降は銀座、浅草を訪れる外国人観光客が支えになったという。ユナイテッドアローズ<7606>はUBSが目標株価を引き上げて30円高。不動産セクターは金融系の復調と足並みを揃える。三井不動産<8801>は売買代金11位に入り97円高で7日ぶりに反発し、三菱地所<8802>は51円高、住友不動産<8830>は65円高と揃って上昇していた。

 後場、「LINEが東証に上場申請」というニュースがマーケットを駆けめぐり、LINE関連の代表格のエムアップ<3661>はストップ高の150円高で値上がり率3位。エイチーム<3662>はストップ高の1000円高で値上がり率4位。順調にいけば11月にも上場してビッグイベントになりそうだ。新興市場は続伸し、日経ジャスダック平均は0.29%、東証マザーズ指数は1.26%上昇していた。

 スマホ向けに広告付き無料アプリ、コンテンツ、ゲームを提供するイグニス<3689>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず4370円買い気配で終わり公開価格1900円の2.3倍と上々の初日。ネット・コンテンツ関連銘柄はIPOでも人気が高い。今週の新規IPOはこの1件のみ(プロ専用市場の「TOKYO PRO Market」を除く)。

 この日の主役は交通、通信など「公共サービス」関連。JR東日本<9020>は羽田空港と東京駅を18分で結ぶ新線を2020年代半ばに開通させると報じられ40円高。2020年までに発着枠が1.5倍に拡大する国際線旅客の交通アクセスを担う。その割を食いそうな京急<9006>は17円安だった。この日オープンの「ハリー・ポッター」新アトラクションの話題が朝からメディアをにぎわせるUSJへのアクセスを担うJR西日本<9021>は値動きなし、JR東海<9022>は260円高で、ともに年初来高値を更新していた。民鉄各社も年初来高値を更新する銘柄が続出した。

 NTT<9432>は69円高で3日続伸し年初来高値を更新し売買代金10位。総務省がスマホの「SIMロック」解除を正式決定し、販売後、一定期間を経過すれば解除を義務づけることになった。同じ機種でキャリア変更ができるので大手キャリアに不利な決定だが、NTTドコモ<9437>は年初来高値を更新して値動きなし、KDDI<9433>は住友商事<8053>と組んでミャンマーでの携帯電話事業に参入することで同国政府と合意と報じられ26円高。ソフトバンクは43円高だった。一方、後発キャリアには有利な決定で、割安通信関連の日本通信<9424>は42円高、IIJ<3774>は4円高。しかし、総務省はキャリア変更に違約金のペナルティを科す「2年縛り」の存廃は結論を先送りにした。大手キャリアでは、その違約金も機器本体や通信料金の割引の原資になっている。(編集担当:寺尾淳)