日銀砲と週替わりヒーローに支えられ、海外要因で朝にマドを空けて下落したとしても、ザラ場中に押し目買いが入って大引けにかけて戻せるのが現状の底堅い東京市場である。それは今週も変わりなく続くだろう。
さて、日経平均の時系列表を見てみると、ある現象に気づく。6月27日の金曜日はアルゼンチンの政府債務問題で一時281円安まで落ち込んだが、週明け6月30日の高値は15177円、7月1日の高値は15388円で、2日間で27日の下落分を完全に修復した。しかもその週は4日に15490円まで上昇している。7月11日の金曜日はポルトガルの金融不安で一時114円安まで落ち込んだが、週明け14日の高値は15324円で、1日で11日の下落分を完全に修復しておつりがきた。その週(前週)は17日に15465円まで上昇している。もし、「週末金曜日の海外要因による下落は1日ないし2日で修復され、その週のうちに15500円に接近する局面がある」というパターンが繰り返されるとすれば、今週はどうなるだろうか。
18日はウクライナでのマレーシア航空機撃墜事件とイスラエル軍のガザ進攻で一時259円安の15110円まで落ち込んだが、連休明け22日と23日の2日間で18日の下落分を修復し、少なくとも17日の終値15370円まで上昇できる。そして週末の25日までにさらに上値を追って15500円に接近できる、というシナリオが考えられる。「二度あることは三度ある」ではないが、18日の日経平均のテクニカルポジションを確認すると、そのシナリオもまんざら絵空事と思えない。
18日の終値15215円は、25日移動平均の15273円、5日移動平均の15331円、ボリンジャーバンドの25日線+1σ(第1標準偏差)の15402円、同じく+2σ(第2標準偏差)の15532円よりも下にある。一方、少し下にはボリンジャーバンドの25日線-1σ(第1標準偏差)の14143円、同じく-2σ(第2標準偏差)の15013円があり、その間に7月の「まぼろしのSQ値」15084円がはさまる。200日移動平均の14881円、75日移動平均の14777円、一目均衡表の「雲」の14545~14802円は、どれも300円以上も下にある。雲の上限は6月の「まぼろしのSQ値」14807円とほぼ重なるが、この価格帯は次のメジャーSQの日の9月12日まで続く最終防衛ラインの「マジノ線」と考える。今週の下値はボリンジャーバンドの-2σ(第2標準偏差)の15013円あたりで、地政学的リスクがどんなに高まっても15000円の大台割れの事態はないとみる。それは前週の押し目買い意欲の旺盛さを見れば納得できるはずだ。
一方で、上値追いがどの程度までできるかを判断するため、テクニカル分析のオシレーター系指標を見てみる。25日移動平均乖離率は-0.4%で前々週末と同じくマイナス。騰落レシオは101.8%で前々週末の107.3%よりも低く、サイコロジカルライン(12日)も3.0で前々週末の5.0よりも低い。ストキャスティクス(9日)はFastが58.51、Slowが65.68で前々週末より高いが、RSIは52.7%、ボリュームレシオは37.2%と、総合的に見れば日経平均は18日の急冷で十分、冷えていて今が飲み頃。「冷えたビールがないなんて」とは、言わせない。条件的には、15500円はなかなか超えられないにしても、接近するには十分だろう。
ファンダメンタルズで日経平均の回復、上値追いを助けてくれそうなのは、何と言っても日経平均採用銘柄など主要企業の決算発表で、今週、足を引っ張りかねないのは信越化学ぐらい。18日のNYダウも123ドル高で17日の下落分を4分の3戻していた。史上最高値の連続更新は高望みでも、17000ドルの大台はキープしてくれることだろう。為替レートも前週のようにドル円が101円台なら上昇の余地ありで、102円台になれば強力な援軍になる。あとは中国のHSBCのPMIというくせ者がネガティブサプライズさえ起こしてくれなければ、安全保障はいざ知らず、経済の範囲では心配はいらないだろう。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは15000~15500円とみる。下値は15200円でも良さそうだが、世の中は一寸先は闇。何が起こるかわからない。(編集担当:寺尾淳)