高速道路7月から割引縮小、財源切れで無料化は白紙か

2014年07月21日 20:32

画像・高速道路7月から割引縮小、財源切れで無料化は白紙か

高速道路のETC休日割引が7月から縮小した。08年に割引の財源として確保していた3兆円の国費は、すでに13年で使い切っており、今回の高速道路料金の割引引き下げは避けられない状況だった。今後さらなる修繕費の増加が見込まれており、高速道路無料化計画は白紙となる可能性が高い。

 東京や大阪の都市部以外の区間で行われていた高速道路のETC休日割引が、7月から縮小した。6月までは5割引だったのが、7月からは3割引となり、高速道路利用者の料金負担が重くなる。

 すでに4月には高速料金の値上げが行われており、消費税の増税分を上乗せした新料金が適用されている。東京と千葉を結ぶ京葉道路は、増税分と渋滞対策費用を合わせて値上げしており、普通車の場合、1区間で30円の値上げ、全線利用の場合は600円から750円に変更されている。

 土日祝日を対象とする休日割引の見直しは4月の段階で決定されていたが、消費税増税の負担増と、観光業への影響を考えてゴールデンウィークの時期を避け、実施は3ヶ月間延長されることになっていた。

 高速道路料金割引については、2009年に始まった「休日利用上限1,000円」との併用で行われ、料金が1,000円に満たない場合に、5割引などの適用が可能となった。休日利用の上限1,000円が11年6月に廃止された後は、休日割引だけが適用されることとなった。しかし08年に割引の財源として確保していた3兆円の国費は、13年で使い切っている。今回の高速道路料金の割引引き下げは避けられない状況であり、今後も割引は縮小されていくものと見られている。

 高速道路の修繕や維持に関する費用の問題も深刻だ。東日本、中日本、西日本の高速道路会社は、今年1月、老朽化する高速道路に必要な修繕費や事業費の試算を発表した。その試算によると、今後15年間で約3兆200億円が必要になるという。改修工事を実施するための費用は、高速道路料金を財源とするため、高速道路の無料化計画を先延ばしにするしかない。5月には改正道路整備特別措置法などの関連法が参院本会議で成立し、50年を目標にしていた高速道路無料化を15年間先送りして、65年まで料金徴収を実施するとした。改修工事にかかる費用は、試算よりもさらに増加することが予想されており、高速道路無料化の実現についてはもはや絶望的という見方もされている。(編集担当:久保田雄城)