【日経平均】ドル円102円台の円安を味方に28円小幅高

2014年07月30日 20:11

 JFEHD<5411>は後場に4~6月期決算を発表し、石炭事業の特別損失計上による純利益32%減でマイナスに落ち9.5円安。日立金属<5486>は4~9月中間期の営業利益見通しを315億円から340億円に上方修正して56円高で年初来高値更新。大阪チタニウム<5726>は4~6月期決算が2ケタ経常増益で204円高になり値上がり率8位。エンプラス<6961>が後場発表した4~6月期決算は、エンプラ事業の営業赤字で営業利益が25%減となり市場予測を下回った。通期見通しを据え置いてもストップ安の1500円安と売り浴びせられ値下がり率1位。花王は経常利益14.6%増の好決算とともに自社株買いを発表し、野村證券が目標株価を引き上げて148.5円高、売買代金5位と買われ上場来高値を更新した。

 LIXILG<5938>は4~6月期の営業利益が45%減の50億円という業績観測が出て63円安。東証2部のワイシャツ製造の山喜<3598>は日清紡HD<3105>傘下のCHOYAのオーダーシャツ事業を譲り受け、通期営業利益見通しを上方修正しストップ高の80円高で年初来高値更新。日清紡HDも18円高で年初来高値更新。明治19年創業の「蝶矢シャツ」は昭和世代なつかしのブランド。三越伊勢丹HD<3099>は、日本空港ビルデング<9706>と共同で銀座三越に空港型の免税店を開設するというニュースがあり9円高。H2Oリテイリング<8242>の4~6月期決算は、売上高は1%減の1279億円でも利益は営業利益7%増の28億円、経常利益2%増の33億円、純利益6.4倍の119億円だったので50円高で値上がり率12位。百貨店事業は消費増税後の反動減で伸び悩んだが、6月にスーパーのイズミヤを子会社化して負ののれん代100億円を特別利益として計上したのが寄与した。

 中国産鶏肉問題の渦中の日本マクドナルドHD<2702>は前日にカサノバ社長が記者会見し、通期業績見通しを「未定」に変更したため76円安。オリエンタルランド<4661>の4~6月期決算は昨年の開業30周年イベントの反動もあり4.2%の営業減益。しかし野村證券、SMBC日興証券、JPモルガンが一斉に目標株価を引き上げるモテぶりで520円高で上場来高値更新。大阪のUSJとの東西対決がかえって刺激になり入場者が増えると期待されている。JR東海<9022>は4~6月期の純利益は微減だったものの480円の大幅安だった。

 JAL<9201>の4~6月期決算は、売上高は4%増の3070億円、営業利益は16%減の186億円、純利益は19%減の147億円という増収減益で、通期見通しの進捗率は13%どまりで210円安。羽田の国際線発着枠拡大で国際旅客収入が8%増えたが、航空燃料の上昇や機材の処分損が採算を悪化させている。増収減益の通期業績見通しは据え置き。スカイマーク<9204>はA380機の発注キャンセル問題でエアバスに700億円の違約金を支払う可能性があると報じられ、34円安で年初来安値を更新し値下がり率2位。空運セクターは業種別騰落率最下位だった。

 ゲーム・コンテンツ関連ではKlab<3656>が売買代金11位に入り34円高で年初来高値更新と好調。秋に上場予定のLINEがファッション、雑貨などの通販サイトのフェリシモ<3396>と提携して電子商取引の定額配送サービスに進出するというニュースがありフェリシモはストップ高比例配分の300円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。それがLINE関連銘柄への買い意欲を刺激し、マーベラス<7844>は77円高で年初来高値更新、エイチーム<3662>は50円高だった。

 新興市場の日経ジャスダック平均は0.02%下落、東証マザーズ指数は0.04%上昇で全体的には横ばい。しかし170円安のマザーズのミクシィ<2121>、290円高のジャスダックの日本マイクロニクス<6871>の2銘柄は東証1部トップのトヨタ<7203>よりも売買代金が多く、新興市場の人気ぶりを物語る。ガンホー<3765>は1~6月中間期の営業利益は19%増だったが、前々期通期の8倍のサプライズに比べれば見劣りし6円安。強烈な刺激が記憶に残ると少々の刺激では満足しなくなる。アライドアーキテクツ<6081>は子会社がフェイスブックの広告パートナー認定を受けて一時ストップ高の269円高。タカラバイオ<4974>はスウェーデンのバイオ企業セレクティスAB社を買収したと発表して73円高。宝HD<2531>も40円高で年初来高値を更新していた。

 この日の主役は日本の基幹産業「自動車」。大手は4~6月期決算が快調でドル円も102円台を維持したため、商いも株価もオーバートップ。トヨタとホンダが売買代金ランキングでワン・ツー・フィニッシュし、輸送用機器セクターは業種別騰落率5位に入った。

 代表格が前日決算を発表したホンダで、営業利益は1980億円で市場予測を上回り、純利益は1465億円。通期の営業利益見通しを100億円上方修正して3%増の7700億円とした。純利益見通しは7期ぶりに過去最高に並ぶ6000億円。上方修正しても市場予測に届かなかったが110円高。2014年上半期は3年連続世界販売トップでレクサス初の小型SUVを投入してドイツ勢に対抗するトヨタは8円高。いすゞ<7202>は売買高12位に入り21.9円高で年初来高値更新。富士重工<7270>は34円高、日産<7201>は2円高、マツダ<7261>は38円高だった。

 部品メーカーも決算好調。特にベアリング関連の業績が良く、日本精工<6471>は4~6月期の営業利益が59%増と非常に好調。通期の営業利益見通しを80億円上方修正して市場予測を上回り、さらに中間配当、期末配当をそれぞれ10円から12円に増配し、91円高で上場来高値を更新して値上がり率11位。ジェイテクト<6473>は46円高で年初来高値更新。無給油式ベアリングのオイレス工業<6282>は262円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。NTN<6472>は17円高、ミネベア<6479>も19円高だった。

 小糸製作所<7276>は通期業績見通しを上方修正し90円高で年初来高値更新。ランプの市光工業<7244>も4円高で年初来高値を更新していた。トヨタ系の自動車内装用レザー大手の共和レザー<3553>は4~6月期の営業利益が約4倍の5.8億円で、中間期見通しの6億円に対する進捗率が96%。63円高で年初来高値を更新し値上がり率2位だった。同じくトヨタ系の東海理化<6995>は三菱UFJ証券がレーティングを引き上げて120円高で年初来高値を更新していた。(編集担当:寺尾淳)