【日経平均】「台風一過」の自律反発で352円の大幅上昇

2014年08月11日 17:16

 ブリヂストン<5108>は8日に1~6月中間期決算を発表し、売上高3%増、営業利益17%増、純利益21%増。北米でもヨーロッパでも新車用タイヤ販売が好調で、原料の天然ゴムの価格低下もあり中間期過去最高の業績。12月期通期の売上高は原料安に伴う販売価格低下を見込んで1500億円下方修正したが、営業利益は150億円、純利益は80億円それぞれ上方修正し、純利益は過去最高益を2期連続で更新。しかしハイレベルの市場予測に届かず売買代金9位の売り浴びせで17円安で5日続落した。同業の東洋ゴム工業<5105>は前場に12月通期の営業利益、経常利益をそれぞれ55億円上方修正。期末配当を10円引き上げたがこれも市場予測に届かず219円安で年初来安値を更新し値下がり率5位。ゴム製品はこの日、唯一のマイナスセクターになった。

 ソフトバンクは8日大引け後に4~6月期の決算を発表し売上高は2.3倍、営業利益は16%減、純利益は68%減という増収減益決算。ただし営業減益は、前年同期にガンホー<3765>の子会社化に伴う評価益を計上した反動で、最終減益はアリババの転換優先株にからんだ一時的な損失計上があったため。しかし特殊事情は考慮されず前場はマイナスで終値も35円高と上値を追えずに終えた。決算発表の席上、TモバイルUS買収断念の件で孫正義社長が質問に答えなかったのも心証を悪くしたらしい。KDDIはグーグルと共同で日米間の大規模光海底ケーブルを敷設し2016年夏にも利用を始めると報じられ5%近い上昇の285円高で売買代金7位。通信容量は現在の4倍になり、日本は北米-アジア間の通信ハブになるという。

 大末建設<1814>は4~9月中間期の営業利益見通しを4億円、純利益見通しを3.7億円上方修正し60円高。プラントの千代田化工建設<6366>は4~6月期決算が悪く売上高10%減、営業利益76%減、純利益89%減。しかし受注高が約8倍で過去最高を更新したため「業績はV字回復する」と見込まれ8円高。前場に4~6月期決算を発表した日揮<1963>も事情はよく似ていて、営業利益が15.6%減で市場予測を下回っても受注高は18.5%増で受注残が2兆円をオーバーしたため87円高。日本工営<1954>は英国のハイダー・コンサルティング社を買収すると発表して15円高だった。丸紅と豊田通商<8015>はアメリカの電力会社とメリーランド州に天然ガス火力の「セントチャールズ発電所」(70万KW)を建設・運営すると報じられ丸紅は11.4円高、豊田通商は90円高。総事業費は約800億円。

 東邦亜鉛<5707>は4~6月期の経常損益が黒字に転換したが、4~9月中間期計画に対する進捗率が38.6%にとどまったため37円安で値下がり率9位。東レ<3402>は新興国で小型水処理機器を販売すると報じられ23.9円高。富士フイルムHD<4901>は「ファビピラビルがエボラ出血熱に効く可能性」という好材料で改めて買い直され売買代金11位に入り101円高だった。パイロット<7846>は12月期通期の純利益見通しを上方修正して期末配当を5円増配し545円高で年初来高値を更新し値上がり率7位。世界的に筆記具が売れているという。

 リクルートHDが8日に今秋の東証上場を準備していると正式発表。最短で10月とみられる。「リクルート関連銘柄」の筆頭格で同社株約90万株を保有する図書印刷<7913>は18円高、王子HD<3861>は9円高、日本製紙<3863>は37円高、日テレHD<9404>は35円高。影響はリクルートと事業がかぶる人材ビジネスにも及び、フルキャストHD<4848>は通期見通しを上方修正してストップ高の80円高で値上がり率1位。4~6月期の営業利益が43.6%増のテンプHD<2181>は310円高で年初来高値を更新し値上がり率13位に入った。理学系研究職の人材紹介事業を行うWDBHD<2475>は4~6月期の純利益が72.4%増で、105円高で年初来高値を更新した。

 スカイマーク<9204>はエアバスの大型機購入を6機全て断念し9円安で年初来安値更新。財務負担が重くなりそうだが日本勢の支援は望み薄。海外勢の支援を受けたくても航空会社には「3分の1まで」という外資規制があり、デルタ航空によるJAL<9201>の再建支援が頓挫した経緯がある。スカイマークの危機で規制緩和論議が盛り上がるか?

 第一生命保険<8750>は8日に4~6月期決算を発表。保険料収入は22%増、基礎利益は28%増、純利益は約2.6倍で39.5円高。銀行窓販で新規契約が伸びた。通期見通しはグループ全体の売上高にあたる経常収益を2580億円上方修正したが、前期比3%増の800億円で純利益見通しは据え置き。保険セクターは業種別騰落率トップになった。

 ゲーム関連銘柄はミクシィ<2121>がストップ高で買えなかったため、Klab<3656>は116円高で売買代金4位、コロプラ<3668>は425円高で値上がり率10位、売買高15位、売買代金2位、エイチーム<3662>は420円高と買いが向かった。しかしマーベラス<7844>は売買代金16位に入りながら19円安、クルーズ<2138>は4~6月期決算が大幅減益でもあり351円安で年初来安値を更新した。「妖怪ウォッチ」のハピネット<7552>は183円高で年初来高値を更新し売買代金13位、値上がり率16位に入った。

 新興市場も急速に戻りを試し、日経ジャスダック平均は1.07%上昇で5日ぶりに反発し、東証マザーズ指数は6.22%も上昇した。売買代金で上位のサイバーダイン<7779>は500円高、日本マイクロニクス<6871>は490円安だった。

 この日の主役は8日に「サプライズ決算」を発表したミクシィ。4~6月期の売上高は5.9倍、営業損益は赤字から46億円の黒字に転換、最終損益は赤字から29億円の黒字に転換した。4~9月中間期見通しは売上高を135億円、営業利益を84億円、最終損益を52億円それぞれ大幅上方修正。20円の中間配当予想も発表すると、信用規制が解除されていなくてもストップ高比例配分の705円高で16%も上昇した。

 通期業績見通しは「未定」に変更。とは言ってもベネッセHD<9783>や日本マクドナルドHD<2702>の未定とは正反対で、「モンスターストライク」の大当たりでどこまで伸びるか「合理的に予測するのが困難」(森田仁基社長)なためだという。ミクシィは「SNS」「ブログ」の草分け的存在だが、今や売上高のほとんどを「モンスターストライク」で稼ぎ、かつての「スーパードライ」のアサヒGHD<2502>や、「パズドラ」のガンホーに似てきた。(編集担当:寺尾淳)