【日経平均】NY株高を背景に閑散に売りなしで127円高

2014年08月20日 20:48

 セブン&アイHD<3382>は配当見通し引き上げを発表。中間期末、期末それぞれ1.5円増配して36.5円、年間で3円増配して73円とし株価は12円高。アメリカは1ドルショップ(ダラーストア)のM&A合戦の渦中だが、日本の100円ショップも大手4社で今年中に約450店舗という出店加速が報じられた。セリア<2782>は60円高、キャンドゥ<2698>は10円高。ファミリーマート<8028>はクレディスイスが「第2四半期も利益モメンタムは低迷」と指摘し170円安で値下がり率8位。ドンキホーテHD<7532>は6月期本決算を発表し、売上高7.7%増、営業利益5.9%増、純利益1.6%増と好調。しかし今期見通しが売上高3.5%増の6340億円、純利益0.1%増の215億円で市場予測に届かず210円安で値下がり率5位。げにすさまじきものはアナリスト。

 この日、いきなり浮上したのが、ラスベガスのカジノを運営するMGM社が東京・築地の中央卸売市場跡にカジノを建設・運営するのを検討しているという「築地カジノ構想」で、ブルームバーグが報じた。銀座に近く地下鉄直結でお台場より交通の便がいいからだという。さっそく築地に縁がある東都水産<8038>は7円高、東洋埠頭<9351>は6円高、ホウスイ<1352>は2円高、東証2部の築地魚市場<8039>は14円高で年初来高値更新と敏感に反応した。何代も続く「市場」関係者は「築地と言ェぁ鉄火(マグロ)だが、そこを鉄火場(賭場)にしようってのかェ。とんでもねェ了見だ」と猛反発しそうだ。

 前日大幅高の日本エンタープライズ<4829>は売買高10位で32円高と続伸し年初来高値を更新し値上がり率4位。「社員のスマホを内線電話として使える」がそれほどの好材料かとも思えるが、放置されてきた低位株という「畑の良さ」もありそう。それはパチンコホールの内装工事の実績からの連想でカジノ関連に数えられ、「築地カジノ構想」浮上で売買高9位に入り31円高で年初来高値を更新し値上がり率3位のイチケン<1847>も同様か。ジャスダックのテックファーム<3625>もカジノ関連で、一時ストップ高の438円高で年初来高値を更新した。

 ゲーム・コンテンツ関連は、Klab<3656>がアメリカの投資会社パインブリッジの資金が入った話で売買高13位、売買代金2位と買われ240円の大幅高で値上がり率2位。コロプラ<3668>は売買代金6位で40円高。新興市場は日経ジャスダック平均が0.47%上昇、東証マザーズ指数が0.77%上昇と堅調。ミクシィ<2121>は280円高。モルフォ<3653>は10月期通期の業績見通しの上方修正とともに中国のサンダーソフト社との業務提携を発表し555円高で年初来高値更新。日本通信<9424>は訪日観光客向けスマホ新サービスを発表したが61円安だった。

 この日の主役はスカイマーク<9204>。日経新聞がマレーシアのエア・アジアが経営支援の検討に入ったと報じた。同社の最大の資産は1日36便の「羽田空港国内線発着枠」で、新千歳空港、福岡空港との間のドル箱路線を維持できれば経営再建は十分可能とみられている。エア・アジアはANAHD<9202>と組んで参入した国内線LCCから撤退したが、改めて楽天<4755>などと組んで再参入を模索中。エアバス機のへビーユーザーなので違約金の問題でも譲歩してもらえる可能性もある。午前中に東証は「買収に関する不明確な情報が流れている」と注意喚起し、スカイマークは「打診を受けた事実はない」と報道を否定したが、株価はストップ高に張り付いて50円高で値上がり率1位。楽天は25円高、ANAHDは0.2円高だった。

 「外国資本は議決権の3分の1まで」という航空法の外資規制をくぐり抜けるには、エア・アジア・ジャパンのような日本企業と合弁で設立した日本法人に買収してもらう方法や、議決権のない優先株を割り当てる方法がある。スカイマークは1998年の初就航以来、その「孤高さ」ゆえ異彩を放ってきた。7月に国際線定期路線進出構想が頓挫しエアバスA380のキャンセル・違約金問題で孤立無援、絶体絶命かと思われたが、「ひとりぼっちはやめた」でエア・アジアに支援を仰いで、はたしてうまくいくのだろうか?(編集担当:寺尾淳)