【日経平均】中国PMI悪化を問題にせず131円高9日続伸

2014年08月21日 20:39

 政府が2015年度から純国産戦闘機の開発を本格検討と報じられ三菱重工<7011>は11円高、高出力エンジンを試作するIHI<7013>は13円高。川崎重工<7012>は2016年3月期の精密機械の営業利益が83%増の220億円という観測で8円高だった。中国のPMIが悪化したが、中国関連とされているコマツ<6301>は19円高、ファナック<6954>は125円高で、丸紅<8002>は4.9円高。今年上半期の日本企業の対中投資額が前年比でほぼ半減したというデータが最近出ていたが、中国の景況の東京市場へのインパクトは低下しているのかもしれない。

 三井化学<4183>はアメリカ現地法人が事業規模2割増を目指すと報じられ売買高13位に入り9円高で年初来高値更新。キリンビールとアスクル<2678>がネット通販の消費者データを活用したマーケティングで協業すると報じられキリンHD<2503>は18円高、アスクルは28円安。9月24日からアスクルの個人向けサイト「ロハコ」で通販サイト専用商品の発泡酒を発売する。

 前日発表の全国コンビニ既存店売上高は0.7%減で4カ月連続で前年実績を下回ったが、減少幅は6月の1.9%減から縮まった。悪天候の影響で「反動減に強い」と思われたコンビニも回復がやや遅れている。企業別ではセブン&アイHD<3382>のセブンイレブンの「一人勝ち」で、7月の既存店売上高は大手5社唯一のプラスの2.1%増。株価は31.5円高だった。中古車買取・販売のガリバー<7599>は71円安で値下がり率2位。カジュアル衣料のアダストリアHD<2685>は8月中間期と2月期通期の利益予想を下方修正。通期営業利益は60億円から51億円に、前期比増益から2ケタ減益に変わり139円安で値下がり率3位だった。

 日本政府観光局が前日発表した7月の訪日外国人客数は27%増の127万人で過去最多だった。国別では中国が約2倍で2年ぶりの首位。空港内免税店の日本空港ビル<9706>は55円高で年初来高値更新。秋葉原の免税店のラオックス<8202>も3円高で年初来高値更新。2015年秋に銀座三越に免税店を開く三越伊勢丹HD<3099>も終盤タンタンタンと上げて3円高だった。

 訪日外国人増加は為替の円安だけでなく羽田空港の国際線増便も寄与している。その羽田へのアクセス鉄道構想を明らかにしたばかりのJR東日本<9020>の子会社の東京モノレールが前日、路線を浜松町から東京駅まで約3キロ延伸する構想を発表した。乗り換えがなくなり東京駅から国内線までの所要時間は23分に短縮し、国際線までは18分。事業費は1095億円。しかし、所要時間18分のJR新線と両方東京駅に乗り入れたらどちらも投資の回収期間が延びるのは必定。「本体と連結子会社の無駄な二重投資で株主に不利益をもたらす恐れがある」と株主代表訴訟を起こされる心配はないのだろうか? 株価は54円高だった。モノレールをJRの軌道上に敷設して東京駅のホーム真上に駅を設けるといい、難工事が予想され鉄建<1815>は売買高3位、売買代金6位に入り9円高、しかし東鉄工業<1835>は46円安だった。

 スカイマーク<9204>はこの日も売られ16円安で値下がり率1位。中外製薬<4519>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて売買代金15位、95円高と反発した。どちらも飛ばし記事が罪つくり。

 不動産セクターも息を吹き返し業種別騰落率3位。住友不動産<8830>は107.5円の大幅高で、三井不動産<8801>は75.5円高、三菱地所<8802>は42.5円高。ケネディクス<4321>は売買高10位で14円高だった。

 ゲーム・コンテンツ関連ではガンホー<3765>が「パズル&ドラゴン」のダウンロード数が15日に3000万件を超えたと発表し17円高。リリースから2年半たっても人気が衰えない「国民的スマホゲーム」。「新御三家」のコロプラ<3668>は145円高で売買代金9位と買われたが、ミクシィ<2121>は30円安。Klab<3656>は売買代金14位で58円高だった。「スマホの内線電話化」で今週の主役の日本エンタープライズ<4829>はこの日も売買高6位、売買代金12位と買われストップ高の80円高で年初来高値を更新し、今週3回目の値上がり率1位。

 「主力銘柄の日」だったが新興市場もしっかりで日経ジャスダック平均は0.64%、東証マザーズ指数は0.53%上昇。サイバーダイン<7779>は25円高。バイオ・メディカル関連の話題が多く、ラクオリア創薬<4579>は過敏性腸症候群などで効果が期待される「5-HT2B拮抗薬」について日本で特許査定を受けたと発表し7円高。メディネット<2370>は「腎細胞がんの樹状細胞ワクチン療法と分子標的薬スニチニブの併用療法」の臨床試験で好結果が得られ9円高。東証1部の田辺三菱製薬<4508>は英国のアストラゼネカと糖尿病性腎症に関する共同研究契約を締結して7円高。人工関節の日本MDM<7600>は特に材料は見当たらなかったが51円高で値上がり率2位に入っていた。

 この日の主役は業種別騰落率トップの証券セクター。ぐいぐい引っ張ったのが野村HD<8604>で、4.27%の上昇で27.3円高。大和証券G<8601>は21.7円高、ネット証券代表の松井証券<8628>は20円高。中国株に強い東洋証券<8614>は中国PMIが悪化しても17円高で値上がり率10位。東海東京FHD<8616>は36円高、JPX<8697>は100円高だった。証券セクターは11日からの連騰中もパッとせず、野村HDは商いが細って売買高、売買代金ランキング20位以内から消える日が多かったが、この日は売買高7位、売買代金7位にしっかり入っていた。(編集担当:寺尾淳)