【今週の展望】それでもやっぱりSQ週は「鬼門」なのか?

2014年09月07日 20:12

 9日は今週最大のイベント、アップルの新製品発表会が開催される。目玉の「新型iPhone」だけでなく、噂の「iWatch」もお披露目する可能性がある。10~12日に中国の天津で「夏季ダボス会議(世界経済フォーラム)」が開催される。11日はニュージーランド、インドネシア、フィリピンの中央銀行が政策金利を発表する。11~18日にスロベニアのポルトローシュで国際捕鯨委員会(IWC)総会が開催される。12日にはECBの利下げ、量的緩和導入決定後で初のユーロ圏財務相会合が開かれる。ECBがEU各国の国債買入オペも行うかどうかが次の焦点になる。12日は韓国の中央銀行の韓国銀行が政策金利を発表する。今週はアメリカ主要企業の決算は予定されていない。

 今週の12日は3ヵ月に一度の「メジャーSQ」の日。先物もオプションも特別清算指数(SQ値)を算出して「9月限」の買い(ロング)、売り(ショート)のポジションを最終的に清算する日で、その際の決済に伴って東証1部の売買代金も増加する。

 今年、このSQ日がある週は日経平均の「鬼門」になっている。SQの日は金曜日だが、この日の終値が前週末の金曜日の終値を上回ったSQ週は6月の1回しかなく1勝7敗で、平均で479円も下げている。唯一の白星だったその6月も20円高にすぎない。前回、8月8日のマイナーSQ当日にオバマ大統領のイラク北部空爆演説を受けて強烈な下げを演じたのは記憶に新しいが、その8月のSQ週は744円安で、4月のSQ週の1103円安、3月のSQ週の946円安よりもまだ下落幅は小さかった。SQ週の前の週の日経平均は7勝1敗の好成績で、SQ明けの翌週が5勝3敗で平均196円上昇しているのと比べると、SQ週の「鬼門」ぶりが際立っている。

 今週はそのSQ週だが、8月までと比べると為替レートはドル円が前週105円に乗せて今年で最も円安が進んでいる。「円安は全てを癒す」のなら鬼門の鬼は退散してもよさそうだが、残念ながら国内外の経済指標とアノマリーがそれを許してくれそうにない。

 5日のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予測を大きく下回るネガティブサプライズだった。この日のNYダウは67ドル高だったが、それはウクライナの停戦合意に中和されたため。週が明けると8日の東京市場で蒸し返される懸念がある。悪いことに8日朝には日本の4~6月期のGDP改定値も発表される。8月13日に発表された速報値は6.8%減でネガティブサプライズだったが、その後に発表された経済指標もかんばしくないのが多かったのでさらに下振れする可能性がある。そうなれば4日のECBの利下げサプライズによる前週の円安が打ち消され、逆に円高が進行する懸念がある。

 そんな月曜日を通過しても、今度は「SQ週の火曜日と水曜日は下落する」というアノマリーが待ち構えている。

 以前から「SQ週の水曜日は荒れる」というアノマリーがあったが、最近ではその前日の火曜日にも日経平均が下落するようになった。今年のSQ週の火曜日、水曜日の日経平均の騰落を調べてみると、16回で4勝10敗2休と確かに大きく負け越している(2月11日、5月6日は祝日休場)。水曜日は3勝5敗、火曜日は1勝5敗2休だった。しかも今年の夏は7月も8月も、SQ週の火曜日、水曜日は連敗を喫している。