【今週の展望】それでもやっぱりSQ週は「鬼門」なのか?

2014年09月07日 20:12

 理屈の上では、株価の上昇期で先物やオプションの期先への「ロールオーバー」がスムーズに進めばSQ週もSQ日も比較的平穏に過ぎていくはずなのだが、どうやら、治にいて乱を忘れずならぬ「治にいて乱を好む」勢力がいるようで、直近の地合いにも需給にもお構いなしにSQ週の火曜日、水曜日が荒れている。ポジション解消の反対売買だけでなく「便乗組」もいる模様で、これもいわゆるイベントドリブンの一種なのだろうか?

 今週の8日は「中秋の名月」の満月だが、まるで月の満ち欠けのように、毎月恒例のSQ週の株価の下落がまた繰り返されると覚悟しておいたほうがいいだろう。

 このように今週は月曜日の朝から「前門の虎、後門の狼」。下手をすると「出口なし」のダラダラ安のまま週が終わってしまうかもしれない。他人がいなくても地獄だ。

 今週の日経平均がいったいどうなるか。それは神のみぞ知るだが、「未来は現在と同じ材料でできている」(シモーヌ・ヴェイユ)というから、今週も5日終値時点のテクニカル・ポジションを確認しておこう。

 前週3日に15829円台まで上昇して「7月末の戻り高値チャレンジ」は終了。そこから2日で161円下がっても、15668.68円は全ての移動平均線や日足一目均衡表の「雲」よりも上にある。5日線は15643円、25日線は15409円、75日線は15260円、200日線は15062円。「雲」は14862~15444円で、これはけっこう上までせり上がってきた。5日終値はボリンジャーバンドの25日線+1σ(第1標準偏差)の15622円のすぐ上で、25日線+2σ(第2標準偏差)の15836円よりも下にある。

 とはいえオシレーター系の指標を見ると「買われすぎ」とも言えない。25日移動平均線乖離率は+1.68%で、買われすぎ判断のメドの+5%よりもかなり下。騰落レシオは8月29日の100.0から107.2に上がったが、買われすぎのメドの120はまだまだ遠い。ストキャスティクス(9日Fast)は4日の75.68から70.78に下がり、買われすぎ判断のメドの70~80の下端にひっかかる程度にとどまっている。

 しかし、すでに解説したようにメジャーSQ週なのでファンダメンタルズ的には上値を追えないという前提があるため、今週は5日終値の15668円を上回ればそれで御の字とみる。一方、下値はかなり下まで食い込まれそうだと想定すると、まず考えられる防衛線が日足一目均衡表の「雲」の上限の15444円や25日移動平均線の15409円あたり。しかし、前々週の安値ライン15356円(8月29日)も気になる。その下には75日移動平均線の15260円、ボリンジャーバンドの25日線-1σ(第1標準偏差)の15195円があり、ザラ場中に先物売りでボロボロ下げられザラ場中の安値はこの近辺まで下落することもありうると考えたい。とはいえ押し目買い意欲は旺盛なので大引けまでに値を戻し、終値ベースでは25日線と75日線の中間をとって15308円あたりが下限だろう。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは15300~15650円とみる。ただし、日経平均の下落を押しとどめて上値追いを可能にするかもしれない不確定要素はある。それは安倍改造内閣の「閣僚の発言」。前週も麻生財務大臣が「補正(予算)も一つの方法だ」と景気対策の財政出動をほのめかし、新任の塩崎厚生労働大臣がGPIFについて、ベンチャーへの投資や株式運用で投資顧問会社を通さず直接売買する自家運用の導入をほのめかした。先物トレード勢力は政治家の発言に「政策に売りなし」で反応しやすい。もちろん、政策待ちばかりではちょっと情けないのも確かだ。シモーヌ・ヴェイユは「未来は待つべきものではない。作り出さなければならないのだ」とも言っている。(編集担当:寺尾淳)