【日経平均】突然の円高でも地震でも騒がないが36円安

2014年09月16日 20:14

 19日発売のアップルの新型「iPhone」が予約絶好調で日本でも3社の予約競争が過熱。下取りプログラムで攻勢をかけるNTTドコモ<9437>は年初来高値を更新しながら大引けで急落し1.5円安だったが、KDDI<9433>は29円高、ソフトバンクは292円高。NTT<9432>も18円高で、情報・通信セクターは業種別騰落率トップ。日経新聞でアップル関連銘柄が改めて報じられミツミ電機<6767>は5円高だったが、村田製作所<6981>は50円安。日東電工<6988>は38円安、ジャパンディスプレイ<6740>は21円安と利益確定売りに押された。記事でアップル関連に挙げられたシャープ<6753>は8月にパイオニア<6773>との資本提携を解消したが、11日にパイオニア株3000万株を全て売却したと判明し2円高。シャープ株はまだ売っていないパイオニアは4円安だった。12日にパイオニアグループのホームAV、電話機、ヘッドホン関連の各事業と統合する基本合意書を締結したオンキヨー<6628>は12円安だった。

 真空技術のアルバック<6728>はマッコーリーがレーティングを引き下げて85円安で値下がり率2位。日本精工<6471>はロボットに利用される角度センサーで最高精度の製品を開発したと報じられ年初来高値を更新しながら5円安。大氣社<1979>はUBSが目標株価を引き上げたが23円安だった。スチール物置でおなじみの稲葉製作所<3421>は7月期決算を発表し、売上高は5%増、営業利益は26%増、純利益は25%増の増収増益。今期の営業利益は微増見込みだが材料出尽くしなのか58円安で値下がり率7位に甘んじた。

 13日に中国国家統計局が発表した8月の経済統計は、前年同月比で工業生産は6.9%増で5年8カ月ぶりの低い伸び。発電量は2.2%減で5年3カ月ぶりの減少。固定資産投資は16.5%増、小売売上高は11.9%増だがともに伸び率鈍化。不動産販売額は8.9%減、粗鋼生産は1.0%増に過ぎず板ガラスの生産は3.8%減と、全くいいところなし。中国関連銘柄代表格のコマツ<6301>は34円安、日立建機<6305>は23円安、ファナック<6954>は155円安だった。

 三菱ケミカルHD<4188>は、傘下の三菱化学メディアがホログラム技術を使い記録容量が現行の10倍の1テラバイト超の新型光ディスクを開発。2018年までに実用化すると報じられたが1.5円安。災害などに備えた大量の情報のバックアップに利用される。中外製薬<4579>はロシュとの間で上場を維持を確認し25円安。完全子会社化をめぐる騒動はこれで幕引きか?

 上場企業の4~9月期の中間配当が前年同期の1割増の3.17兆円で2年連続で過去最高更新という記事が出た。中間配当を初めて実施するセコム<9735>は51円高。「無印良品」の良品計画<7453>は10月末にも専用サイトを開設し、工務店や不動産会社と組んで住宅リフォームのネット受注をまず首都圏で始めると報じられたが70円安。リフォームに無印良品の商材を使う。

 不動産セクターはマンション販売統計の不振もあり、このところ準指定席になりつつある業種別騰落率最下位。三井不動産<8801>は66円安、三菱地所<8802>は42.5円安、住友不動産<8830>は76円安。この日から東証1部に指定替えになったスターツコーポレーション<8850>は69円安で値下がり率9位になって初日を飾れず、東証1部の地位は〃家賃が高い〃か? 

 東証1部主力銘柄の多くが反落したが、新興市場は日経ジャスダック平均が0.39%、東証マザーズ指数が0.03%それぞれ上昇し健闘。マザーズの総医研HD <2385>はアジアでの事業展開を目指しトランスアジアと資本業務提携しストップ高の80円高で年初来高値更新。ジャスダックの扶桑化学<4368>は中間期の増配とともに9月末現在の株主を対象に1株を5株に分割すると発表してストップ高の1000円高で年初来高値を更新した。マザーズのみんなのウェディング<3685>は9月期の経常利益見通しを4.92億円から3.9億円に下方修正し年初来安値を更新しながら持ち直して39円高。ジャスダックのプラネット<2391>は、2015年7月期に2ケタ営業減益を見込み43円安だった。

 理化学研究所と先端医療振興財団が12日、先端医療振興財団先端医療センター病院(神戸市)で、目の難病の患者さんにiPS細胞を使った世界初の移植手術を実施した。初の臨床応用にステップアップした大きな出来事。iPS関連銘柄では東証1部の新日本科学<2395>がストップ高の150円高で値上がり率2位に入り、新興市場ではリプロセル<4978>が12円高だったが、テラ<2191>は12円安、ナノキャリア<4571>は16円安で、ともに後場に利食い売りされていた。

 この日の主役は後場急伸してひときわ輝いていたゲーム関連のenish<3667>で、最後はストップ高までいき400円高で値上がり率1位。この秋にリリースされるスマホゲーム「千年の巨神(せんかみ)」の事前登録者が6万人を突破したのが材料。しかしタイトルからして千年王国思想とケルトの巨神伝説で、またまたヨーロッパ中世の暗黒。澁澤龍彦や種村季弘の著作はゲームクリエイター養成の基礎課程テキストなのだろうか?(編集担当:寺尾淳)