外食産業の中で、好調な業種とそうでない業種がはっきりしてきた。日本フードサービス協会が公表した8月の外食産業売上高は、前年同月比97.9%と低迷し、3ヶ月連続で前年割れとなった。相次ぐ台風や豪雨、さらには中国産鶏肉の問題が長引き、客数が落ち込んでいる。全体では不振だったものの、ファミリーレストランなどは好調で、客足が遠のくファストフード店や居酒屋との格差が開いている。
最も売上の落ち込みが大きかったのはファストフードで、前年同月比93.8%と低迷した。特にマクドナルドなど「洋風」系の業態では、中国産鶏肉問題の影響で、売上は83.7%と大幅な落ち込み。ファストフードの中でも、こうした問題の影響を受けなかった「カレー」「和風」「アイスクリーム」などの業態は好調だった。高価格の新メニューを考案し、客単価が上昇した業態もあったようだ。「麺類」も新メニューが好調で、売上は110.2%と大きく前年を上回った。
ファストフード店ほどではないが、パブ・居酒屋も苦戦している。全体の店舗数が減少したのに加え、悪天候もあいまって、客数は前年比95.2%、売上高は94.8%と低調。「パブ・ビヤホール」は、キャンペーンなどによって客数は伸びたものの、客単価が下落した。売上高は99.4%と前年をわずかに下回っている。
苦戦が続くファストフードと居酒屋に対して、好調なのがファミリーレストランだ。8月は豪雨で、客数こそわずかに前年を下回ったものの、メニューの入れ替えなどで客単価の下落を防いだ。売上は102.9%と前年より増加した。ファミレスでは全業種でプラスとなっており、特に「焼き肉」店では、夏休みの家族連れの消費が好調。売上は前年比111.9%と大幅に増加したようだ。
デフレ時代の象徴ともいわれた、「安い、早い、美味しい」ファストフード店や居酒屋が客離れに悩む一方、高品質で付加価値を高めたファミレスは好調という構図がはっきりしてきた。(編集担当:北条かや)