12月本決算を前に1~9月期最高益を記録、「マッサン」効果で好調なアサヒHD

2014年11月04日 10:32

Super Dry Pre

昨年末にギフト専用商品として開発、今年2月から本格展開した「アサヒスーパードライ・プレミアム」が好調に推移、同社利益アップに貢献した

 ビールを事業主体とするアサヒグループホールディングス(HD)が、第3四半期決算短信を発表した。2014年1~9月期における連結決算は、純利益で544億円、前年比16.0%増を記録し、当期最高を記録した。

 消費増税や夏期の天候不順などがビール類に逆風となったが、新商品の投入などで需要を積極的に喚起した戦略が実った。売上高は前年同期比で3.0%増加し1兆2950億円。

 グループ主要業務を担うアサヒビール株式会社のビール類は、2月から本格展開した「アサヒスーパードライ・プレミアム」が好調に推移したことに加えて、新ジャンルの「クリアアサヒ」「クリアアサヒ・プライムリット」がキャンペーンなどの効果が奏功し、前年同期の実績を上回る販売数量となった。また、“プリン体ゼロと糖質ゼロ”を前面に推した糖質ゼロの発泡酒「アサヒスーパーゼロ」を9月に発売するなど、製品活性化に取り組んだ。ビール類全体としては、ほぼ横ばいだという。

 ビール類以外の酒類では、ニッカウヰスキー創業80周年と、その創業者である竹鶴政孝生誕120周年を効果的に販売促進に取り込み、創業者の名を冠した「竹鶴」ブランド中心にマーケティング活動を強化した。これがウイスキー類の売上を大きくアップさせている。ニッカウヰスキーについては、この9月からスタートしたNHKの朝ドラ「マッサン」が、創業者・竹鶴政孝とその妻リタの物語であり、マッサンが日本で初めてウイスキー製造にチャレンジした物語だ。この年末から最終章のオンエア3月まで、ドラマ「マッサン」は、大きな追い風になると見込まれる。何より、在京大手民放TVキー局では、絶対に制作できない内容のドラマなので、ニッカウヰスキー関係者の期待は高い。その理由については機会をみて別項で報告する。

 ワイン部門は、チリワインの「サンタ・ヘレナ アルパカ」やスペインワインなどを中心に輸入ワインが好調に推移。全体で前年同期比を超え売上アップを果たした。

 本業のビール事業を俯瞰すると、国内でビールそのものの最大販売を達成し続けているアサヒビール。直近で政府自民党が、第三のビールとされる新ジャンル類の酒税をアップさせ、本来のビール税率を下げるとの方針を打ち出した。市井では安直な課税姿勢に非難の声が上がっているが、本格ビール「スーパードライ」の販売比率が高いアサヒビールにとっては追い風とも言える。

 アサヒグループHDは2014年12月期通期で前年比12.0%アップの690億円の純利益目標を変えていない。今夏のビール類の減速で、0.2%アップを目指すビール類の販売計画達成は不透明ながら、年末ギフト向けの限定商材投入で巻き返しを図るという。もちろん、「マッサン」効果による、ニッカウヰスキーの80周年記念新商品投入も継続する。(編集担当:吉田恒)