コンセプトの曖昧なシティマネージャーの役割とは何か?

2014年11月13日 12:14

画・取・コンセプトの曖昧なシティマネージャーの役割とは何か?

石破地方創生担当大臣は、人口5万人以下の市町村に国家公務員や大学職員、民間シンクタンク(研究所)研究員などを「シティマネージャー」として派遣する制度を11月から受入を求める市町村を募集し、この制度を来年4月から開始すると発表した。

 石破地方創生担当大臣は、人口5万人以下の市町村に国家公務員や大学職員、民間シンクタンク(研究所)研究員などを「シティマネージャー」として派遣する制度を11月から受入を求める市町村を募集し、12月から人材を公募、そして、この制度を来年4月から開始すると発表した。この制度は「日本版シティマネージャー派遣制度」といわれるもの。全国からおよそ100の自治体を選んで人材を派遣する制度で、人材は地方版の「総合戦略」をまとめる任務を担うことになる。

 具体的には、「地方創生」という安倍政権の政策に積極的に取り組む市町村に対して、意欲と能力のある国家公務員、そして大学研究者、民間シンクタンクなどの人材を派遣することになるのだが、前者が副市町村長、幹部職員として派遣され、常勤一般職、25人程度を派遣。国家公務員は勤務経験が5年以上15年未満が条件のようだ。後者が副市町村長、幹部職員として派遣され、常勤一般職として10人程度、 顧問や参与等として派遣される非常勤特別職が65人程度になる。

 シティマネージャーは、副市町村長や幹部職員として、2年間勤務し、地域を活性化するための方策を取りまとめなくてはいけない。この背景に、政府は市町村に対し、地方創生の総合戦略を2015年度中に策定するよう求めていることがある。また、国の若手職員を派遣する案がこれまで話題になっていたが、それがここに反映された形だ。
 
 この制度、地方自治体の職員・議員・住民はどう感じるか。自治体がこれまでどれだけ頑張ってきたのか、つまり地域の活性化に悩み、模索し、失敗し、苦杯をなめてきたのか知っているだろうか。そして、問題解決が難しいことをどれだけ困ってきたか知っているのだろうか。国は、その原因の一端を国が作っているという自覚すらない。

 また、処方箋を作る任務など甘すぎはしないか。目標がそこなら、なんと楽なマネージャーだろう。関係者を動機づけ、実行を手助けできる稀有な人材が求められる中、コンサルタントや評論家は必要ない。数も1人では不十分だろう。

 結局、「若手官僚の勉強の場としては一定の効果があった」で終わりにならない政策を期待したい。(編集担当:久保田雄城)