安倍政権の2年、安保、原発、経済を問う選挙

2014年11月22日 10:28

画・成立なるか? 次回国会で派遣法改正案の審議の可能性

安倍晋三総理は21日、衆議院を解散。12月2日公示、14日投開票で「総選挙」を実施し、安倍政権の2年、アベノミクスについて国民の信を問うことになった

 安倍晋三総理は21日、衆議院を解散。12月2日公示、14日投開票で「総選挙」を実施し、安倍政権の2年、アベノミクスについて国民の信を問うことになった。

 議席数は前回より5議席少ない475議席。解散前の政権与党の議席数は自民294、公明31、あわせて325議席ある。自公は改選後も270議席以上の「絶対多数」を目指す。

 270議席といえば55議席を野党に奪われても絶対多数で優位に国会運営を図れる数字。自公が選挙戦にゆとりをもった戦いができることをうかがわせる。

 今回の選挙。安倍政権が行ってきた重要案件での判断に対する是非を問うものでなければ、700億円も税金を使って選挙する意味合いが亡くなる。

 つまり、本来は集団的自衛権の行使容認の基本的方向性を閣議決定する前に、憲法解釈の是非で国民に信を問うべきところを問うことなく、「集団的自衛権は有するが、現行憲法下では行使できない」と歴代内閣が堅持してきた憲法解釈を一内閣のみで変更したことへの是非。

 二つ目には、国を取り巻く安全保障環境が大きく変わったとして、日米同盟をより深化させ、国家間で安全保障上の秘密情報を共有することを法的に担保させなければならないとして、国民の不安を払拭させることなく特定秘密保護法を強硬に成立させ、12月10日から施行することになったことの是非。

 3点目は原子力・エネルギー政策で、原発再稼働の是非を問うべきところを「エネルギーの安定供給とコスト問題を理由に、原子力規制委員会が安全基準に適合しているとした原発は再稼働を加速、促進する」ことの是非。

 4点目は原発再稼働での地元同意について、原発から30キロメートル圏内のすべての自治体の同意ではなく、原発立地の自治体とその道県の自治体のみで『自治体の同意』とする政府の解釈の是非。これでは何のための30キロメートル圏内なのか、疑問視する声や批判の声は強い。

 30キロメートル圏内の同意については菅直人元総理が衆院原子力問題調査特別委員会で「30キロメートル圏の自治体がこれでいいと言わないと(再稼働の)スイッチは押せない、そういう理解でいいですね」と質したことに、東京電力の姉川尚史取締役(常務執行役)が「地域防災計画が定まっていない、つまり、ご理解を頂いていないということであれば、事業者としては再稼働の条件が十分でないというふうに認識している」と答え、30キロメートル圏内すべての自治体の同意を得ることを再稼働の条件とする認識を示した。

 なのに、政府の菅義偉官房長官は即日「地元同意は九州電力川内原発の対応が基本的なことになる」とし、地元同意の範囲を立地道県、立地市町村の首長、議会だけの範囲でよいとする政府見解を示した。この解釈は安倍政権下ではかわらないのだろうが、この解釈を是とするか、否とするか。

 世論を2分する案件になっている安保と原発について、民意を反映させる機会にはなるのではないか。

 安倍総理は解散の主な理由を「これまでのアベノミクス政策を今後も続けてよいのかどうかということ、消費税増税を18か月先送りしたことは税制にかかわることなので、国民に信を問う必要があり、衆院解散、総選挙を行うことにした」と、経済政策を最大争点とした選挙にしたいようだが、2年間の決算選挙であるべきあろう。

 国民はアベノミクスの是非はもちろん、「安保」「原発」、2閣僚辞任の引き金となった「政治とカネの問題」への対処の是非、NHK経営委員会に中立公平のバランス感覚に疑義を感じさせる人物を送り込んだ責任の是非、自らが総裁として当時の野田佳彦総理と約した「政治家自ら身を切る改革」の実効評価など、審判すべき点は相当数ある。

 安倍総理は以前「集団的自衛権行使容認の是非を選挙で問うべき」とする野党議員の国会での質問に、集団的自衛権に対する憲法解釈の変更は自民党総裁選挙で掲げ総裁になった。また総選挙でも、参議院選挙でも自民党のJファイルにきちっと載せており、選挙で国民の了解を得ているとし「(この問題で)選挙するつもりはない」と答弁した。

 国民はJファイルや選挙公約のすべてを注視し、安倍政権を支持する、支持しないを明確に「投票行為で示すこと」が重要だ。アベノミクスを支持する、支持しない、のレベルではない。安保、原発、社会保障制度の在り方も含め、来年以降の日本の進み方に大きな意味を持つ重要な選挙となることを有権者の一人一人が自覚し、選択することが重要だ。(編集担当:森高龍二)