【日経平均】OPEC総会原油減産見送りで安定し211円高

2014年11月28日 20:15

 半導体商社の菱洋エレクトロ<8068>が2~10月期決算を発表し50円高。半導体も小型液晶も伸び売上高は19%増、営業利益は22%増、純利益は23%増。通期見通しは据え置いた。英国の大手投資ファンドCVCキャピタルが約170億円を投じ通信サービスのアルテリア・ネットワークスに対し丸紅<8002>と折半出資と報じられ丸紅は5.8円高。IPOでエグジットを目指す。月3580円の「格安タブレット端末」を売り出すイオン<8267>は21円高。良品計画<7453>はJPモルガンが目標株価を引き上げ440円高。新潟県中心に「ツタヤ」店舗をFC展開するトップカルチャー<7640>は25円安で値下がり率4位。10月期通期の最終損益を5.6億円の黒字から5.2億円の赤字に大幅下方修正したため。

 JR東海<9022>が12月17日にリニア中央新幹線の「工事安全祈願式」を行って起工すると発表。JPモルガンがレーティングを引き下げたが目標株価はそのままで295円高。土木、特にトンネル工事に強い飛島建設<1805>は20円高で値上がり率9位、大豊建設<1822>は33円高で同10位、鉄建<1815>は25円高。日本コンベヤ<6375>は鹿島<1812>と土砂の垂直輸送装置「スネークベルコン」を開発したと発表し、リニアの工事で活躍すると見込まれ23円高で値上がり率4位。鹿島は10円高だった。

 国土交通省が大規模港湾「戦略港」に出資して経営に直接参画。第1号として28日に阪神港(神戸港、大阪港)の運営会社「阪神国際港湾」に3割以上出資し筆頭株主になる見通し。現在の港湾荷役や陸運の主役はコンテナだが、経産省と国交省が連携して日本通運<9062>や東芝、ホンダなどと共同でカラのコンテナを企業間で相互にやりくりするしくみをつくると報じられ日本通運は10円高。内陸にコンテナの中継基地を設け、カラのコンテナを港まで回送するムダを省く。

 ゲーム・コンテンツ関連ではコロプラ<3668>がアマゾンのアンドロイド・アプリストアで「白猫プロジェクト」の配信を開始し4円高。ドリコム<3793>は新作ゲーム「COLOR」のディーザーサイトを公開し12月から事前登録を始めると発表し102円高。大事な部分に覆面をかけるもったいぶったプロモーション。任天堂<7974>は28日の「ブラックフライデー」から始まるアメリカの年末商戦への期待で440円高だった。

 新興市場は、日経ジャスダック平均は0.23%上昇、東証マザーズ指数は0.14%下落。ジャスダックの毎日コムネット<8908>は、6~11月中間期の営業利益見通しを減益の3.17億円から増益の5.50億円に上方修正し、71円高で年初来高値を更新した。

 前日、新規上場したが初値が持ち越されたマザーズのCRI・ミドルウェア<3698>は上場2日目も初値がつかず公開価格2400円の5.29倍の12700円の買い気配で終了。月が変わる来週に持ち越し。12月11日からは11営業日で28件予定という空前のIPOラッシュが始まる。

 この日の主役は「石油」。OPEC総会は、減産を主張するとベネズエラなどと日量生産3000万バレルの現状維持を主張するサウジアラビアなどの対立が解消せず結局、原油生産量を現行水準維持と決めた。NY原油先物市場は感謝祭で休場だったが、時間外取引でWTI価格は一時1バレル70ドルを割り、100ドルを超えていた夏場に比べ3割を超える下落。2010年6月以来の水準まで下がったことで、東京市場では原油安でメリットを受けるセクターと、逆にデメリットを受けるセクターの明暗がはっきりした。

 空運と海運は石油系燃料で航空機や船舶を動かすので原油安でメリットを受ける。空運セクターは業種別騰落率トップで、ANAHD<9202>は売買高4位に入り20.1円高で年初来高値を更新し値上がり率8位。JAL<9201>はスカイマーク<9204>との提携に国土交通省から横ヤリが入り2月の共同運航開始が延期になりそうでも売買代金16位に入り175円高で年初来高値更新。スカイマークは3円安。海運セクターは業種別騰落率第2位で、日本郵船<9101>は売買高10位で11円高、商船三井<9104>は同7位で13円高、川崎汽船<9107>は同8位、20円高で年初来高値を更新して値上がり率13位。

 原油安でデメリットを受けるセクターの最右翼は鉱業と石油・石炭。国際石油開発帝石<1605>は93.5円安で値下がり率1位、石油資源開発<1662>は180円安で同5位、日本海洋掘削<1606>は100円安で同16位に入り鉱業セクターは業種別騰落率最下位。石油プラント建設を手がける千代田化工建設は59円安で値下がり率3位、日揮は43.5円安だった。石油・石炭セクターも33業種別騰落率32位で、JXHD<5020>は売買高16位で10.6円安、昭和シェル石油<5002>は1円安、出光興産<5019>は39円安、コスモ石油<5007>は1円安。石油元売り各社は原油備蓄法で70日分の民間備蓄を義務づけられているため、原油価格の下落による会計上の在庫評価損が減益に直結する。これは時価会計の負の側面。(編集担当:寺尾淳)