ユネスコエコパークを知っていますか?

2014年12月10日 17:42

画・ユネスコエコパークを知っていますか?

エコパークとは聞きなれない言葉だが、一体何か。生物圏保存地域であり、自然と人間社会の共生を続ける地域としての意味がある。生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としたユネスコが開始した事業といったほうがわかりやすいだろうか。

 長野県伊那市では、南アルプスが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「エコパーク」に登録されたことを記念して、南アルプスの山々、動物・植物が含まれる絵ハガキを作成した。このハガキ、希望するともらえるようだ。南アルプスは山梨県、長野県、静岡県の3県にまたがっており、日本で2番目に高い高峰北岳(標高3193m)をはじめ、3000メートル級の山々を有している。このハガキには南アルプスの駒ケ岳、ライチョウなどが鮮やか描かれている。

 南アルプスではこの6月にスウェーデンで開かれているユネスコの「人間と生物圏計画」の国際調整理事会でエコパークの登録が決定されてから、様々な活動が行われている。

 エコパークとは聞きなれない言葉だが、一体何か。生物圏保存地域であり、自然と人間社会の共生を続ける地域としての意味がある。生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としたユネスコが開始した事業といったほうがわかりやすいだろうか。自然から様々なことを学ぶことが第一であり、さらに文化的にも経済的、社会的にも持続可能な発展を目指すために何ができるのかを考えて、実行する取り組みだ。ユネスコエコパークはあくまで通称であり、海外では「BR」(Biosphere Reserves:生物圏保存地域)と呼ばれている。

 ユネスコというと自然遺産のほうが有名で、日本では屋久島、小笠原諸島、知床、白神山地が登録されている。自然遺産は永遠の価値を有する地域を保護し、保全することが目的である。一方、ユネスコエコパークは、環境の保護、保全よりも重点が生態系の保全と持続可能な利活用の調和に置かれている。

 ユネスコエコパークの登録件数は、119か国631件。日本の登録件数は、志賀高原、白山、大台ヶ原・大峯山、屋久島、綾、只見、そして南アルプスの7件。

 エコパークについての地域住民の認知度は低いと思われるし、実際そうだという声も聞く。名前を聞いたことはあるけれども、いったいどういった意味があるのかを共有することが必要だろう。そして、国民への普及のためにも、文部科学省や地元自治体はどうのような啓発活動を進めていくのか、期待したい。(編集担当:久保田雄城)