最近、食品への異物混入が相次いで問題になっている。昨年末、まるか食品の「ぺヤングソースやきそば」に虫の混入が発覚。日清食品<2897>の冷凍パスタにも「虫の一部」が混入していたことが分かった。ベビーフードを製造している和光堂では、「グーグーキッチン ごろごろ肉じゃが」にコオロギが混じっていた。
マクドナルド<2702>では、チキンマックナゲットに青いビニール片が混入。記者会見で同社の責任者は、タイ工場で使用しているビニールの可能性が高いと説明した。さらにチーズバーガーに金属片が混入していたことも報告。5ミリ程度の針金のような金属片で、鉄板の焦げつきを削り取るために使用した金属のヘラの削りかすだったという。またソフトクリームの中からプラスチック片が見つかり、子どもが口の中をけがするという事件も起こっていたことが分かった。
いずれのケースも消費者側からの苦情で、異物混入が発覚している。企業は商品を自主回収するなどして対応したが、イメージの悪化は避けられそうにない。マクドナルドは異物混入問題の影響か、1月9日のジャスダック市場で、一週間以上株価が下落し、最安値を更新する事態に陥った。2014年には中国の工場で期限切れ鶏肉使用問題が発覚。食の安全性への不信感から客足が減り、これまでにない苦境に立たされていたところの追い打ちである。顧客の信用回復という大きな課題を背負いながら、今回の事件へどのように対応していくかが注目されている。
実は食品の異物混入は今に始まったことではない。東京都の「食品衛生の窓」によると、東京都に寄せられた異物混入の苦情件数は08年で1,365件、09年927件、10年812件、11年639件、12年681件にも上る。異物が混入する原因には工場の管理不足や、衛生チェックの不備が指摘されている。厚生労働省は1月9日、相次ぐ異物混入問題を受けて、全国の自治体に食品事業者への指導徹底の通知を出した。工場の部品や機械設備の点検や、虫の混入防止のための窓や排気口のチェックなど、メーカー側に要請する方針だ。(編集担当:久保田雄城)