【今週の振り返り】日銀会合、ECB理事会通過で647円上昇の週

2015年01月24日 20:09

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中央銀行の金融緩和は「突然」でなくても、1回見送ってもったいぶっても、マーケットに予想がさんざん流れても、正式に発表されれば、やっぱり好材料。

 19日の日経平均は反発し終値で17000円台を回復した。前週末16日にスイスショックで大幅下落した上に、同日のNYダウが堅調で、為替も円安方向に戻して押し目買いが入り17000円台を回復して始まる。しかしその後は予想された通り日銀会合、ECB理事会、ギリシャ総選挙のイベント待ち手控えムードが出てきたのに加え、上海市場が大幅安で始まったため前場は17000円を割り込んで推移する。中国の証券市場監督当局が大手証券3社に対し信用取引口座の開設の一時停止処分を出していた。後場も17000円台に定着しきれず、上海総合指数は結局7.7%安まで下げ続けたが日経平均は連れ安せず底堅い。終盤にかけて為替の円安進行を背景に買い戻しが入り、大引け直前の売り攻勢をかわして17000円台に滑り込んで終えた。

 日経平均終値は150.13円高の17014.29円、TOPIX終値は+8.68の1372.41。売買高は20億株、売買代金は1兆9278億円で、19日がキング牧師の誕生日の祝日(振替休日)でアメリカ市場が3連休になることもあり、海外投資家の参加が少なく2兆円を割り込んだ。値上がり銘柄数は1152、値下がり銘柄数は561。プラスは鉱業、非鉄金属、ガラス・土石、卸売、医薬品、鉄鋼、精密など28業種。マイナスは空運、証券、銀行、ゴム製品、不動産の5業種だった。

 20日の日経平均は大幅続伸。フランスのオランド大統領がECB理事会での国債買い入れ発表をほのめかしヨーロッパ市場は上昇。ドル円が118円台に乗せた円安を追い風に前場は17200円台まで上昇する。中国の2014年の実質GDP成長率が発表され、政府目標の7.5%を下回る7.4%で24年ぶりの低成長だったが、10~12月のGDP成長率が7.3%で市場予測を上回ったため悪材料にはならず上海市場は反発。昼休みに政府が2014年の訪日外国人数を発表し、過去最高の1341万人、その消費総額は43%増で「インバウンド消費」への期待が高まった。JPX<8697>の通期業績の上方修正と増配も発表され、後場は高値を取って始まる。債券市場では長期金利(10年物国債利回り)が初めて0.2%を割り0.195%に。IMFの成長見通しは全世界も日本も引き下げられたが東京市場は「だから金融緩和に期待」で堅調。ドル円は118円台半ばまで円安が進行し、日経平均は25日移動平均線の17264円だけでなく1月のSQ値17341円も突破して17300円台に定着し、日経平均、TOPIX、JPX日経400とも高値引けになった。

 日経平均終値は352.01円高の17366.30円、TOPIX終値は+25.22の1397.63。売買高は21億株、売買代金は2兆1600億円。値上がり銘柄数は1657、値下がり銘柄数は158。33業種別騰落率は証券、機械、鉄鋼、鉱業、倉庫、その他金融、輸送用機器など32業種が上昇し、空運1業種が下落した。

 21日の日経平均は反落。17300円台で始まるがそれは序盤だけで、前場の残りの時間と後場を通じておおむね17200円台の値動きになり、たまに17300円台にタッチするが午後0時台には先物主導で一時17200円を割った。それでもECB理事会待ちの様子見ムードで静かな値動き。昼休みに発表された日銀の金融政策決定会合の結果は「成長基盤強化のための貸出支援制度」の拡充以外は金融政策現状維持で、展望レポートの中間評価で2015年度の消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを1.7%から1.0%に引き下げたので為替のドル円は円高方向に振れたが、上海市場の堅調にも支えられて株価への影響は一時的だった。2015年度の実質GDP成長率見通しは逆に1.5%から2.1%に引き上げた。

 日経平均終値は85.82円安の17280.48円、TOPIX終値は-7.02の1390.61。売買高は21億株、売買代金は2兆3029億円。値上がり銘柄数は466、値下がり銘柄数は1312 。上昇業種は空運、ゴム製品、陸運、繊維、小売、鉱業など9業種。下落業種は保険、その他金融、電気・ガス、機械、精密機器、非鉄金属など23業種。電気機器は変わらずだった。

 22日の日経平均は反発、TOPIXは小幅安。小反発して17300円台で始まるが、ザラ場中は17200円台、小幅マイナスの時間帯も長かった。それでも後場は為替がドル円118円台で安定したおかげで大崩れはせず、終盤は上昇を続けたまま17300円台の高値圏で終えたが、TOPIXはプラスに浮上できなかった。大引け後に控えたECB理事会の結果の事前予測報道とマーケットの思惑が交錯し、さらに25日にはギリシャの総選挙もあり、底堅いけれども様子見で上値も追いにくく、上下126円の小幅の変動にとどまった。

 日経平均終値は48.54円高の17329.02円、

 TOPIX終値は-1.18の1389.43。売買高は19億株で20億株の大台割れ、売買代金は2兆507億円。値上がり銘柄数は724、値下がり銘柄数は988。石油・石炭、パルプ・紙、情報・通信、鉱業、食料品、その他金融など13業種が上昇、ゴム製品、サービス、水産・農林、不動産、電気・ガス、電気機器、精密機器など20業種が下落し、プラスよりもマイナスのセクターのほうが数でまさった。

 22日に発表された注目のECB(欧州中央銀行)理事会の結果は、ユーロ圏各国の国債等を1ヵ月当たり600億ユーロ買い入れる「非伝統的手法」のオペレーションを2016年9月まで続けるという内容。規模が市場予測の月500億ユーロを上回り、買い入れ期間もほぼ予想通りだったので、株価はヨーロッパの各国市場もNY市場も大幅高になった。ECBにとって量的金融緩和は初導入で、為替市場は対ユーロでは134円台半ばまで円高が進行したが、欧米の株高を受けて対ドルでは118円台後半まで円安が進行した。

 23日の日経平均は大幅続伸。TOPIXは大幅反発した。17500円台にタッチして始まり、朝方から自動車、電機、精密、機械などの大手メーカーの主力銘柄を中心に幅広く買いが入る。上海、香港などアジア市場もECBの量的緩和政策を好感して堅調。1月のHSBC中国製造業PMI速報値は12月確定値より0.2ポイント、市場予測より0.3ポイント高い49.8に上振れして不安を払拭。利益確定売りの金曜日でも、ギリシャ総選挙や翌週の企業決算発表待ちの様子見でも、日経平均は終日17500円をはさんだ上下72円の値幅で安定的に推移した。終値ベースで昨年12月29日以来の17500円台に乗せて年初来高値を更新し、日足一目均衡表の「雲」の上に出た。TOPIXも1400の大台を回復した。

 日経平均終値は182.73円高の17511.75円、TOPIX終値は+13.79の1403.22。売買高は20億株、売買代金は2兆1237億円。値上がり銘柄数は1321、値下がり銘柄数は431。上昇セクターは保険、海運、鉄鋼、鉱業、精密機器、非鉄金属、卸売など27業種、下落セクターはゴム製品、水産・農林、医薬品、サービス、食料品、陸運の6業種だった。

 今週は4勝1敗。16日終値から647.59円上昇し、昨年12月22~26日の週以来4週間ぶりのプラスで取引を終えた。「灰色の1月」にも光が差し込んだ1週間だった。(編集担当:寺尾淳)