電力に続き、ガスも自由化となりそうだ。経済産業省は1月13日、家庭向けの都市ガス販売を自由化する方針を明らかにした。同省は有識者会議を開き、報告書を作成。今月下旬に開かれる通常国会にガス事業法改正案を提出する。家庭向け電力の自由化は2016年4月に実施されることが決定しているが、それに続いてガスも自由化となると、エネルギー市場に大きな展開が期待できそうだ。
経済産業省によると、ガスの自由化は17年をめどに進められる。数年後には電力とガスのセット販売や、電力市場にガス会社が参入するなど、活発な動きが起こりそうだ。電力業界以外にも、石油業界やLPガス業界などからの参入も増え、各業界独自の市場や販売網を生かした低価格ガスの提供が実現するかもしれない。ガス販売の自由化で、サービスの充実や価格競争などが起こり、電気料金やガス料金の値下げが起こる可能性が高まった。
都市ガス市場では、工場など大口契約においてはすでに自由化されており、商社や電力会社などの新規事業者参入も活発だ。現在の大口契約のガス販売量の1割以上が、新規参入事業者によるものとなる。
一方、家庭向けの小口契約はガス総販売量の35%となる。一般家庭が約2,400万軒、個人商店などの小規模店舗が約120万軒で、市場規模はおよそ2.4兆円。これら小口契約のガス料金は、すでに自由化されている大口契約のガスと比較すると割高だ。現在は「総括原価方式」により、ガス料金に人件費や原燃料費などのコストが反映される仕組みとなっているが、これも自由化に向けて撤廃される見通しにある。
しかし、ガスの安全供給については課題も残っている。経済産業省の有識者会議では、供給ラインとして大手都市ガス会社のガス導管の共有を想定しており、都市ガス会社の一部分社化を求める意見が出ている。しかし安全性や災害時の緊急対応などに支障が出るおそれがあるという反論もあがっており、一筋縄ではいかないようだ。(編集担当:久保田雄城)