ホンダはセダン並みの低い全高フォルムの中に、ミニバンクラスの3列シートをレイアウトした新型車「JADE(ジェイド)」を発売した。6名の乗員のための居住性とユーティリティを実現し、パワフルで上質な走りを備えた新型ワゴンで、従来のストリームの後継車といえるモデルだ。ただし、新型ジェイドは、1.5リッター直噴DOHC i-VTECエンジンをベースとしたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID(スポーツ ハイブリッド)i-DCD」を搭載したハイブリッド専用モデルである。駆動用バッテリーは小型で高性能なリチウムイオン電池を採用した。
ジェイドは、足回りや床下部品の小型化を徹底し、効率良くレイアウトした超高密度低床プラットフォームを採用。多くの立体駐車場に対応した低い全高でスタイリッシュなデザインとした。見晴らしの良い爽快な1列目、快適な前方視界が得られる新しいシートスライド機構を採用した2列目、多彩に使える3列目空間を実現。
そして、最大の見どころは2脚の独立型キャプテンシートで構成する2ndシートだ。リアのホイールハウスを避けるように、シートレールを後方内側へと斜めにレイアウト(20度オフセット)することで、17cmの前後スライド量を確保。“クラスを超えたリムジン空間”を実現した。
また、3rdシートは、床下への折りたたみ収納が可能で、しかも「大人がきちんと座れる」のが自慢。ハッチゲートのヒンジを通常よりも前方に設け、3rdシート乗員頭上をガラスルーフとして窮屈感を排除して快適なスペースへと仕立てた。
ボディサイズは全長×全幅×全高4650×1775×1530mm、ホイールベースは2760mmと長い。このホイールベースの長さが3列シートレイアウトの達成に貢献したのだろう。
搭載するパワーユニットは、1.5リッター直列4気筒DOHC直噴ガソリンエンジンが131ps/6600rpmの最高出力、15.8kg.m/4600rpmの最大トルクというアウトプットを持つ。組み合わせる駆動用モーターは、29.5ps/1313~2000rpm、16.3kg.m/0~1313rpmというアウトプットだ。システム合計で152psと高性能2リッターガソリン車を超える出力を持つ。動力を伝達するトランスミッションは、2ペダルの7速DCS(デュアル・クラッチ・トランスミッション)である。これにより、25.0km/リッター(JC08モード)という低燃費を両立したという。
ハイブリッドシステムの特性は、スタートからエンジンのトルクが立ち上がる回転域までは、ほぼモーターのトルクで発進して高いスピード域をエンジンが受け持つという構図となるわけだ。これを支えるサスペンションは、フロントが堅実ともいえるマクファーソンストラット式で、高い剛性を持ったダンパーを組み合わせる。リア側は、ダブルウイッシュボーン式とホンダお得意のレイアウトで臨んだ。これだけのメカニズムと3列シートを詰め込みながら、都心の立体駐車場に何の問題もなく入庫できる全高を実現したことに拍手を贈りたい。先々代の同社オデッセイから培ってきた、ホンダ独自の“低床設計技術”が冴えているといえる。
加えて、ホンダの安全運転支援システムである「Honda SENSING(ホンダ センシング)」は、歩行者まで検知対象とし、衝突の危険がある場合に表示や音によって警告。緊急時には、ブレーキを作動して衝突回避・被害軽減を図る。
組み合わせるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、アクセルペダルを踏まずに設定した車速を保つクルーズコントロールに、前走車を検知し自動で加減速を行う機能を追加。高速道路などで車速と車間を適切に制御する。さらに、LKAS〈車線維持支援システム〉、路外逸脱抑制機能、誤発進抑制機能、先行車発進お知らせ機能などに加えて単眼カメラで道路標識を認識。マルチインフォメーション・ディスプレイに表示することで、標識への注意を促し、安全運転を支援する標識認識機能を備えた。
価格はハイブリッドの272.0万円、ハイブリッドXの292.0万円となる。(編集担当:吉田恒)