16年3月卒業の学生の就活が、もうすぐ始まる。今年は経団連の指針変更で、3 月に広報が解禁、8 月に選考が解禁となる。スケジュールが大幅に繰り下げられ、企業の採用活動は「短期決戦」となる見込みだ。株式会社ディスコの調査によれば、リーマン・ショック以降、冷え込みが続いた新卒マーケットは、11年度を底に好転。5年連続で採用を「増加」させる企業が増え、採用意欲は年々高まっている。採用活動期間の短期化も重なって、優秀な人材を確保するための競争が激化するとみられる。
調査は1月26日~2月6日、ディスコが、全国の主要企業8065社を対象にウェブアンケートで実施。1236社から回答を得た。16年卒の採用数について、「増加」と回答した企業は29.2%で、「減少」の6.9%を大幅に上回った。
売り手市場になると、学生の「採用人数」を優先し、「質」を重視する傾向は低下する。各企業に採用のスタンスを尋ねたところ、「学生の“質”よりも“人数”の確保を優先させる」企業は16.4%と、前年調査(12.5%)より3.9ポイント増加。「人数優先」の割合はリーマン・ショック前の水準を上回り、とにかく学生の数を確保したい企業も目立つ。もちろん依然として、「“人数”の確保よりも、学生の“質”を優先させる」企業が83.6%と圧倒的に多いが、「質優先」は5年連続で低下している。
企業の活動スケジュールはどう変化するのか。自社セミナー開始のタイミングは「3月下旬」が最も多く、3月までに半数強(56%)が実施する見込み。3月~4月中旬までの1ヶ月半に、7割の企業がセミナーを開始する。
「面接開始」は、選考解禁直後の8月上旬(14.9%)が最も多いが、従業員1000人以上の大企業(21.7%)では、よりこの時期に集中する傾向がみられた。経団連の指針に従う企業が多いためだろう。「内定出し」の時期も、指針変更にともなう「8月上旬」が14.9%で最も多い。しかし、7 割弱(66.4%)の企業が「8月より前に内定を出す予定」としており、就活が一概に短期化したとはいえない。経団連に加盟していない企業や外資では、採用スケジュールを変えないケースも目立つ。情報が錯綜し、「一体何を信じればよいのか」と、焦る学生が増えるかもしれない。(編集担当:北条かや)