「ミドリムシ」はバイオ燃料の救世主となるか?

2015年03月04日 10:48

画・「ミドリムシ」はバイオ燃料の救世主となるか?

藻の一種で、体内の葉緑体によって光合成を行う単細胞生物「ミドリムシ」を使ったバイオ燃料の開発に注目が集まっている。その担い手が2005年に設立されたベンチャー企業ユーグレナ<2931>だ。ユーグレナとは、ミドリムシの学名。

 藻の一種で、体内の葉緑体によって光合成を行う単細胞生物「ミドリムシ」を使ったバイオ燃料の開発に注目が集まっている。その担い手が2005年に設立されたベンチャー企業ユーグレナ<2931>だ。ユーグレナとは、ミドリムシの学名。

 同社は2月23日、国際石油資本の米シェブロンの子会社シェブロンラマスグローバル社(CLG社)などと提携し、航空ジェット機向けバイオ燃料の精製を行うと発表した。ユーグレナは、CLG社と米研究開発エンジニアリング会社であるアプライド・リサーチ・アソシエイツ(ARA社)から、バイオ燃料精製施設を建設するために必要な技術の提供を受ける。

 これまで、ユーグレナはミドリムシから抽出した油脂をバイオジェット燃料に精製することを目指してきたが、今回の提携により燃料精製事業が具体化しそうだ。

 ユーグレナは昨年6月、いすゞ自動車と、ミドリムシのバイオディーゼル燃料実用化に向けて共同研究を始めると発表していた。

 同社の強みは、ミドリムシの屋外大量培養技術を確立していること。同社設立のきっかけは、代表取締役の出雲充氏が東京大学在籍中にバングラデシュを訪れたこと。そのとき出雲氏は、「世界の食料問題を解決したい」という思いを強く抱いたという。帰国後、出雲氏は同大学農学部に在籍していた現取締役の鈴木健吾氏からミドリムシを紹介された。そして、出雲氏は鈴木氏らとともに2005年8月にユーグレナを設立、同年12月には、東京大学や大阪府立大学、近畿大学など協力を得て、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功したのだ。培養に成功したのは沖縄県石垣島。豊かな太陽、ミネラル豊富な水、澄んだ空気がミドリムシの成長に最適な環境だという。

 出雲氏が抱いた「食料問題を解決」という方向でも、同社は着々と事業を展開している。健康食品としてのミドリムシの活用だ。ミドリムシには、ビタミンやミネラルだけではなく、魚に多く含まれるDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸など59種類もの栄養成分が含まれている。しかも、それらの栄養を効率よく吸収できる。他の植物と違って、ミドリムシには細胞壁がなく、柔らかな膜で覆われているため、消化されやすいからだ。ユーグレナでは「飲むユーグレナ」などの健康食品の販売を開始している。

 さらに、ミドリムシは化粧品としても期待されている。ミドリムシを加水分解したエキス「リジューナ(Rejuna)」には、紫外線に対する防御力の強化、コラーゲンの合成を促進させる働きがあるからだ。(編集担当:久保田雄城)