用途多彩ミドリムシ バイオ燃料や食品にも 

2014年10月25日 13:53

画・用途多彩ミドリムシ バイオ燃料や食品にも 

ミドリムシビジネスが活況だ。体長およそ0.05ミリの藻の仲間だ。ミドリムシの用途は食品からバイオ燃料まで幅広い。今年6月25日、いすゞ自動車はミドリムシを原料に「ユーグレナ」と、次世代バイオディーゼル燃料の共同研究を始めると公表した。

 ミドリムシビジネスが活況だ。学名はユーグレナ。体長およそ0.05ミリの藻の仲間であり、鞭毛運動を行う動物的性質も併せ持っている。ミドリムシの用途は食品からバイオ燃料まで幅広い。今年6月25日、いすゞ自動車<7202>はミドリムシを原料に、東大発のベンチャー企業「ユーグレナ」<2931>と、次世代バイオディーゼル燃料の共同研究を始めると公表した。

 バイオディーゼル燃料は植物から油分を取り出して作るため、広大な農地の確保が前提条件として必要だ。国土が狭く平地が少ない日本での生産は難しいが、ミドリムシの培養なら耕作地がなくても原料を大量に作りだすことができる。

 ユーグレナはすでにミドリムシの培養技術を築いており、バイオディーゼル燃料の実用化に向けて拍車がかかっている状況だ。7月にはミドリムシから作ったバイオディーゼル燃料「デューゼル」で、神奈川県にあるいすゞ自動車の藤沢工場でシャトルバスの定期運行を開始した。エンジンの調子を確認しながら軽油にデューゼルを混ぜていき、含有率1%から段階的に増やしていく計画だ。2018年までにデューゼル100%の燃料の実現を目指している。

 さらにユーグレナは、ミドリムシの食品加工、販売も手掛けている。自社ブランドの「ユーグレナファームの緑汁」を通信販売しているほか、「飲むユーグレナ」「飲むミドリムシ」をイトーヨーカドーやナチュラルローソンで販売。ミドリムシには植物と動物の両方の栄養素がバランスよく含まれている。ビタミンやミネラルをはじめ、不飽和脂肪酸であるDHA、EPAなどを摂取することができるため、健康効果への期待が高い。

 大手食品メーカーもミドリムシに着目し、イトーヨーカドーの呼びかけをきっかけにカゴメ<2811>、ロッテ、カルビー<2229>、ブルボン<2208>、永谷園<2899>、岩塚製菓<2221>、理研ビタミン<4526>、モントワールなどが共同で「ミドリムシカラダに委員会」を設立。ミドリムシを配合した食品を商品化している。

 ユーグレナは18年までの目標として、国内食品市場での直販・流通140億円、OEM製品供給60億円、原料供給100億円を掲げている。さらに海外でも、東南アジアを中心に売上300億円規模まで拡大を図る方針だ。(編集担当:久保田雄城)