伊藤忠が温暖化ガス排出量削減事業に参入 米バイオ航空燃料企業へ出資

2014年05月02日 08:37

 航空分野の現在の温暖化ガス排出量は世界全体の排出量の約2%。しかし、世界的な航空需要の高まりを背景に今後年率3%から4%の割合で排出量が増加すると予想されている。そのため、国連専門機関ICAO(国際民間航空機関)は燃料効率を2020年まで年率1.5%の割合で改善し、20年以降は温暖化ガス排出を増加させないことというCNG-2020(Carbon Neutral Growth 2020)や50年までに05年比で50%削減することを決議した。

 そして、世界240の航空会社が加盟するIATA(国際航空運送協会)が会員航空会社とこの削減目標達成に向け取り組んでいる。この目標達成にはバイオ航空燃料の積極的な導入が不可欠であることから、世界各国の航空会社が積極的にバイオ航空燃料に取り組んでいる。

 今回、伊藤忠商事<8001>がこの削減目標への取り組みを発表した。同社は都市ごみ等のバイオマスからバイオ航空燃料等の持続可能バイオ燃料を製造する技術を持つ米国Solena Fuels Corporationに出資した。

 従来のガス液化(Gas to Liquid)技術に独自の高温プラズマガス化技術を組み合せたSolena社のIBGTL(Integrated Biomass Gas to Liquid)ソリューションは都市ごみ、農業残渣、森林残渣などのバイオマスを原料に高品質なバイオ航空燃料などの持続可能バイオ燃料を製造することを可能にする。この方法で製造されるバイオ航空燃料は国際的航空燃料基準で認証されており、機体、ジェットエンジン、既存インフラ設備、現在の航空燃料流通システムの改修、変更等の特別な措置無しにそのまま利用可能だという。

 現在Solena社は英国航空をパートナーにロンドン近郊で都市ごみからバイオ航空燃料、無硫黄バイオディーゼル燃料、バイオナフサなどの液体燃料を年間約10万トン製造する「GreenSky London」プロジェクトを推進中である。この第1号商業化施設は2017年に操業を開始する予定だ。

 伊藤忠商事は今後、日本を含む世界各国での事業展開を目指すSolena社のビジネス開発を支援し、グローバルな地球温暖化ガス排出削減に寄与する方針だ。(編集担当:慶尾六郎)