ジョニー・シー会長率いる台湾ASUSは、2月13日、都内でPC製品の発表会を開催し、日本市場で一気に22製品を投入すると発表した。マザーボードとノートパソコンの生産でグローバル企業へ成長してきた同社は、いかなる戦略で生き残ろうとしているのか。
ジョニー・シー会長率いる台湾ASUSは、2月13日、都内でPC製品の発表会を開催し、日本市場で一気に22製品を投入すると発表した。マザーボードとノートパソコンの生産でグローバル企業へ成長してきた同社は、いかなる戦略で生き残ろうとしているのか。
ジョニー・シー会長は、台湾大学で電気工学を、交通大学経営管理大学院で経営を学び、1989年に4人の仲間とともにASUSを設立した。当初は各PCメーカーへのマザーボード供給が主要事業だった。2008年に発売したサブノートPC「Eee PC」がヒットし、グローバルで1万2000人の従業員を抱える大企業に成長した。
ところが近年、スマホやタブレットの利用者が拡大して、PC市場は縮小傾向にある。PCメーカーも戦略転換を迫られている。
こうした中で、ASUSは新たなコンセプトのPCを投入している。2月に発表されたのが「TransBook Chi」。ディスプレイとキーボードが分離する2in1タイプのノートPCで、MacBook Airよりさらに薄い。「音楽や動画などのデジタルメディアの消費」と「生産的な仕事への活用」の両方を満たすPCといっていい。
一方、ASUSはスマホ市場にも本格参入している。14年には低価格スマホ「ZenFone」の販売を開始した。さらに今年に入り、後継モデル「ZenFone 2」を発表した。ディスプレイの解像度や内蔵メモリーの容量別に複数のラインナップを揃えている。携帯市場に詳しい山根康宏氏は「さまざまなユーザーニーズに1モデルで応えるZenFone 2の製品展開は既存のスマホメーカーにはない新しい試みとも言える」と評している。
ZenFone 2の最上位モデルとなる「ZE551ML」はスマホ史上最大のメモリー容量(RAM)となる4GBモデルも投入した。一方、低価格モデルとして新興市場向けの「Pegasus」も投入した。
同社の強みは、マザーボード製造というコアテクノロジーを持っている点だ。しかも、PC製造を通じて、パフォーマンス、美しさ、音質の良さなどをベストなバランスで組み合わせて製品を開発するノウハウを培ってきた。さらに、PC販売を通じて、グローバル市場で強力な販路を築き上げてきた。その潜在力は大きい。ASUSはスマホ市場の台風の目となるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)