【今週の振り返り】前場安くても後場ひっくり返し305円上昇の週

2015年03月21日 20:37

 16日の日経平均は4営業日ぶりの小幅反落。前週末13日のNYダウは経済指標の弱さや1バレル44ドル台まで下げた原油先物安を嫌気して145ドル安。それでもCME先物清算値は19210円で19000円台を保った。15日にトヨタ<7203>が上積みして4000円のベアで妥結というニュースが流れたが、早朝にリベリアからの帰国者にエボラ出血熱感染の疑いが出て検査中。マラリアは陽性。為替のドル円は121円台前半で動かず日経平均は19245円の小幅安でスタートする。直後にプラスになったかと思えば午前9時5分に19226円まで下落するが、そこからTOPIXと足並みを揃えて上昇し序盤はプラス圏の19300円台に定着する。9時台後半に19290円付近まで水準を下げるがTOPIXともどもマイナスにならない。10時2分には19349円まで上昇して13日につけたザラ場中の昨年来高値を更新した。ただし、折り返すと19300円台を保てずに割り込む時間帯もあり、TOPIXが一時マイナスになるなど「ちょっと荒れ気味」。前引けは19291円でTOPIXはマイナスだった。

 エボラ出血熱騒動は結局陰性でマラリアの治療に専念。後場は19300円台で高寄りしながらしばらくは19290~19320円のレンジで「ちょっと荒れ」が続き「嵐の予感」。TOPIXは再びマイナスに。午後1時15分を回ると上げ幅を圧縮し、前日終値の手前で粘るが1時25分にマイナスに落ち、あとは前日終値をはさんでプラスとマイナスの間を行ったり来たりの繰り返し。2時台になるとその振幅が激しくなる。2月の新築マンション販売戸数は前年同月比2.0%減で不動産大手は軒並み軟調。TOPIXはずっとマイナスで「NTねじれ現象」の時間帯が長い。日経平均も終盤には利益確定売りに押されてマイナスに変わり、8円安で終了した。

 日経平均終値は8.19円安の19246.06円、TOPIX終値は-2.12の1558.21。売買高は19億株で20億株に届かず、売買代金は2兆4517億円。値上がり銘柄数は955、値下がり銘柄数は790。上昇は14業種でその上位は空運、銀行、その他製品、ガラス・土石、機械、その他金融など。下落は19業種でその下位は鉱業、石油・石炭、医薬品、ゴム製品、電気・ガス、鉄鋼などだった。

 17日の日経平均は大幅反発し19400円台に乗せた。週明けのアメリカの経済指標は、鉱工業生産指数は前月比+0.1%でプラスながら市場予測の+0.3%に届かず、NY連銀景気指数は2ヵ月連続低下、NAHB住宅市場指数は3ヵ月連続低下でともに市場予測に及ばなかった。それでも利上げがからんだ「悪いは良い」の思惑と、ECBがすでに97億ユーロの国債買い入れを実施済みというニュースでドイツ・フランクフルトDAX指数が過去最高値をマークしたのを受け、NYダウは228ドル高の大幅反発。CME先物清算値は19330円。為替のドル円は121円台前半であまり変化なし。日産<7201>のベア5000円回答、日立<6501>と三菱重工<7011>がROE10%超を経営目標とする報道など主力銘柄の好材料が続出し、日経平均始値は19425円で2000年4月17日以来約15年ぶりの19400円台で始まる。トヨタは2007年2月27日以来8年ぶりに上場来高値更新。前場は19400円を軸に行ったり来たりで安定したまま最後まで推移し、前引けは19411円。

 昼休みに日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、微調整もなく金融政策現状維持。反対は〃反逆のカリスマ〃木内登英審議委員1人。景気判断は据え置き。消費者物価指数の基調判断は下方修正。これが買い意欲を誘ったのか後場は高値を取って再開し、午後0時56分に19451円まで上昇する。しばらく前場より30円ほど高い水準で小動きしていたが、1時31分に19474円の高値取り。関東以西のポカポカ陽気に誘われたのか前日比220円を超える上昇で、1時52分には19479円と19500円に迫る。薄商いを仕掛け売り勢力に狙われることもなく、そのまま19400円台後半で安定し、終盤に19450円を少し下回ったものの19437円で終えた。

 2月23日以来3週間ぶりに新規IPOが再開した。コラボス<3908>が東証マザーズに、エムケイシステム<3910>がジャスダックに新規上場。2銘柄とも初値がつかなかったが、どちらも人気の情報・通信セクターだけに公開価格の約2.3倍の買い気配値で終了し、新規IPOの年明け8連勝は確実。

 日経平均終値は190.94円高の19437.00円、TOPIX終値は+12.29の1570.50。売買が主力値がさ株に偏り売買高は19億株と2日続けて20億株を下回ったが、売買代金は2兆4539億円もあった。急上昇についていけない中・小型銘柄も出ている模様。値上がり銘柄数は1024、値下がり銘柄数は679。プラスのセクターは電気機器、証券、医薬品、化学、陸運、情報・通信、鉱業など29業種。プラスマイナスゼロのセクターが小売1業種、マイナスのセクターがパルプ・紙、鉄鋼、銀行の3業種だった。

 18日の日経平均は大幅続伸で19500円台に乗せた。前日大引け後の記者会見で日銀の黒田総裁は現状の株価について「企業収益と離れて一方的に強気、過熱していない」と評価。日銀のETF買い入れについては「金額的には大きくなく株価を支える意図はない。リスクを取らない市場に活性化を働きかけるのが目的」と述べた。この日も任天堂<7974>がDeNA<2432>との資本業務提携を発表するなど好材料のニュースに事欠かない。ヨーロッパ市場の軟調に加えNY原油先物が一時42ドル台まで下落してNYダウは128ドル安と反落。2月の貿易赤字が4246億円で32カ月連続の赤字というニュースもあり日経平均は29円安の19407円と小安く始まる。プラスは序盤だけでその後の日経平均はほぼマイナスで推移。FOMC待ちの様子見なのか前場に19400円を割り込む時間帯もあったが、それでも小幅安にとどまる。後場は一転して一段高。午後2時台にはどんどん高値を取って19500円を突破した。終盤には19555円まで上昇し大引けは19544円。M&Aの話が出た任天堂<7974>とDeNA<2432>は大商いでストップ高比例配分だった。17日新規上場のコラボス<3908>の初値は公開価格3620円を2.37倍上回る8600円。エムケイシステム<3910>の初値は公開価格3500円を4.32倍上回る15120円で、新規IPOはこれで年明け8連勝。