【今週の振返り】「まぼろしの2万円」になり274円下落した週

2015年03月28日 21:25

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「国民の総意」かとも思われた。2万円タッチは、あと222円に迫りながら最も期待された26日に暴落のはたき込み。追えば追うほど、逃げてゆくまぼろし。

 昼休み中に為替の円高が進み後場は19639円と下げて再開。先物主導で19600円を割り午後0時36分に171円安の19542円という安値をつけるが、配当取りも加わった押し目買いと日銀砲期待でV字回復してすぐに19600円を回復する。その後はマイナス圏で徐々に値を戻し、2時9分にTOPIXを伴って手堅くプラスに浮上。2時台は前日終値近辺の小動きでなかなか上放れしなかったが、それでも終盤粘って32円高の19746円とプラスで終えた。終値が始値とほぼ同じでローソク足は「十字架(寄引同時線)」で、2万円まであと254円。TOPIXもプラスだった。それでも前週のヒーローのファナック<6954>、前日のヒーローのエーザイ<4523>が利益確定売りに襲われて日経平均がマイナス圏で道草を食うようでは、「26日に2万円タッチ」を果たすにはパワー不足。それでも壁ドンならぬ「背中をドン」と押す出来事でもあれば、日経平均が一気に2万円にタッチしそうなムードも、なくはなかった。

 Aiming<3911>が東証マザーズに新規上場。公開価格920円より12.7%高い1032円の初値がついた。シンデン・ハイテックス<3131>がジャスダックに新規上場。公開価格2740円より12.2%高い3075円の初値がついた。ハウスドゥ<3457>が東証マザーズに新規上場。公開価格3600円より47.2%高い5300円の初値がついた。3銘柄とも白星で新規IPOは前日から5連勝。

 日経平均終値は32.75円高の19746.20円、TOPIX終値は+4.42の1592.01。売買高は21億株、売買代金は2兆5622億円。値上がり銘柄数は851、値下がり銘柄数は891。繊維、その他製品、不動産、食料品、電気・ガス、建設、化学など25セクターが上昇し、鉱業、医薬品、海運、ゴム製品、石油・石炭、その他金融など8セクターが下落した。

 26日の日経平均は痛恨の大幅反落。耐久財受注が前月比-1.4%の大幅減になりNYダウは3日続落し292ドル安で18000ドルを大きく割り込んだ。NASDAQも118ポイントの下落でめったにない3ケタ安。為替のドル円は119円台半ば。CME先物清算値は19510円と大きく下落した。「2万円タッチ許すまじ」の外部環境悪化の中、泣いても笑っても「配当取り買いVS.決算対策売り」「過熱感VS.押し目」の対決に最終決着がつく3月期決算銘柄の権利付き最終売買日の日経平均は140円安の19605円で始まる。しばらく19600円台を保ったが、午前9時8分に19600円を割り込み、下落幅が200円を超えて今週の上昇分を全部吐き出して9時20分には19526円。19500円も守りきれず58分には19459円まで下げる。TOPIXも23ポイントを超える下落で全面安。最近は、先物で仕掛け売りをされても押し目買いがスクランブル発進してその日のうちに穴を埋める傾向が続いたが、「今日はそんなヤワな敵ではない」と感じさせる。10時台になっても下げ止まらず、10時54分には19400円も割り込んで19397円まで下げ、下落幅は300円を超えた。サウジアラビアがイエメンに軍事介入したという原油先物高を招きかねない中東の地政学的リスクのニュースもあり、先物主導の下落が投資家の恐怖心理をあおって「配当も株主優待もいらないから利食えるうちに早く逃げろ」というリスクオフ行動を誘う。11時台は19450円近辺まで戻すのがやっとで、前引けは309円安の19436円だった。

 3月期決算企業の配当権利取りラストチャンスで「日銀砲」発射期待も出た後場はやや高く19457円で再開する。午後0時台のうちに徐々に下げ幅を圧縮して19500円台を回復するが、前日終値まで200円以上の落差があり、息切れしたように1時台は再び19400円台後半に低迷。為替のドル円が119円を割り込み円高が進行すると、前週まであんなに元気だった押し目買いもへたってしまった。株価が安くなってから買えば配当利回りが良くなるという理屈もリスクオフの恐怖心理には勝てない。2時台前半は時々19500円にタッチするだけで19400円台後半にくすぶる小動き。終盤は利益確定売りに下押しされ19400円台前半に下落したが、大引けで戻して終値は275円安の19471円。しかし日経平均先物日中取引は19290円で安値引け。東京市場は「背中をドン」どころか先物に強く足を引っ張られ「2万円タッチ」はまぼろしに終わった。一夜明ければ配当権利落ちで自動的に下落するので、マーケットのムードは強気から一気に弱気に変わり、心理が理屈を屈服させて快進撃した2~3月の上昇相場も「心変わり」で幕を下ろしそうな気配になってきた。

 権利付き最終売買日の騒ぎの中でも新規IPOは3件。日本動物高度医療センター<6039>が東証マザーズに新規上場。公開価格1130円より44.2%高い1630円の初値がついた。プラッツ<7813>が東証マザーズと福岡Qボードに新規上場。公開価格3260円より70.2%高い5550円の初値がついた。モバイルファクトリー<3912>が東証マザーズに新規上場。公開価格1410円より99.4%高い2812円の初値がついた。全て白星で新規IPOは24日から8連勝。

 日経平均終値は1月14日以来の大幅安で275.08円安の19471.12円、TOPIX終値は-23.19の1568.82。売買高は22億株、売買代金は2兆7959億円。値上がり銘柄数は242、値下がり銘柄数は1558。上昇セクターは鉱業、石油・石炭の2業種。下落セクターは海運、その他金融、空運、倉庫、その他製品、精密機器、証券など31業種だった。