世界のケータイ契約数「74億」超え、普及率は人口の「103.5%」に

2015年07月10日 08:43

 矢野経済研究所が公表した「携帯電話の世界市場に関する調査結果2015」によると、14年末現在、世界の携帯電話サービスの契約数は「74億9487万5000」契約。国連の人口統計によれば、世界の人口は2014年末現在で「72億4400万人」なので、人口に対する普及率は103.5%になる。これまでBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、北米市場が携帯電話サービスの新規契約数を牽引してきたが、現在はASEAN、中央アジア、中南米や一部のアフリカ市場での増加が顕著だ。

 調査は矢野経済研究所が昨年6月~今年5月にかけ、携帯電話やスマートフォンメーカー、国内半導体メーカー、通信事業者、関連業界団体等への面談、電話、メールによるヒアリング、文献調査を併用して実施。

 世界の携帯電話端末市場はこれまで、スマホが牽引する形で拡大し続けてきた。中でも急速な経済発展を遂げた中国・インド・ASEANを含むアジア・オセアニア地域では、携帯電話サービスの契約数の増加に伴い、携帯電話の「端末市場」も拡大を続けている。

 一方で、14年第4四半期以降は、中国・インドという2大巨大マーケットでの出荷台数増加が鈍化し始めているという。中国では「1000元スマホ」(1元=20円換算で約2万円)と呼ばれる低価格スマホの成功で国産メーカーの育成が図られてきたが、需要が一巡し供給過多になっている。15年は中国市場が縮小に転じる可能性もあるようだ。インドについては、スマホ市場が立ち上がり始めたものの、通信インフラ整備の遅れや、端末の販売価格がまだまだ高額であることから出荷台数は伸び悩んでいる。

 矢野経済研究所では、「主要市場におけるスマートフォンの需要は一巡しており、今後は買い替え需要に移行する」と予測。他方、スマホの普及が遅れている新興国向けには「100ドル未満」の「超低価格スマートフォン」の需要が拡大する見込みだ。先進国に加え新興国でも、都市部で「第四世代携帯電話(4G)」のサービスが開始され、データシェアプランなど、複数端末を用途に応じて使い分ける形で需要開拓が進む見通し。また、中国や韓国など仮想通信事業者(MVNO)への回線卸しの拡大によって、市場が活性化する可能性もあるという。(編集担当:北条かや)