11万以上の観客動員数を誇る、国内の二輪レースで最大イベントとなる鈴鹿8時間耐久ロードレースが開幕した。ここ数年、バイク人気も盛り上がっており、二輪メーカーがレースにどれだけ力を注いでいるのかでわかるもの。
それを証明するかのように今年のヤマハは、13年ぶりにファクトリーチーム体制で臨んでいる。選手には二輪ロードレース最高峰のMotoGPの現役ライダー2名を起用。2014年ランキング6位のポル・エスパルガロ(今年のポイントランキングは現在9位)と、ランキング8位のブラッドリー・スミス(今年のポイントランキングは現在6位)だ。
さらに二輪ロードレース国内最高峰であるJSB1000(全日本ロードレース選手権)で、前人未到の5回ものチャンピオンを獲得し、現在も3連覇中である中須賀克行選手が今回も参戦。今年のJSB1000では、鈴鹿が2位で、続くオートポリス、もてぎ、SUGOでは優勝し、ポイントランキング1位と中須賀選手は絶好調で乗りに乗っている。
マシンは、2014年11月にフルモデルチェンジした新型「YZF-R1」を投入。世界各国のレースシーンでも好成績を収めており、チーム体制、選手、マシンともに最高の条件が揃っているのだ。
チーム監督は鈴鹿8耐での豊富なレース経験もある吉川和多留監督。「当時はライダーとして参加したが優勝できなかった。GPライダーと中須賀選手でチームが上手く運営できれば勝てる! だからこそ私の責任は重大です」と語る。
中須賀選手は9度目の鈴鹿8耐となり、昨年は過去最高の4位だった。「MotoGPライダーがかなり速いので、しっかり8時間走りきって、チームとみんなと一緒に喜びたいと思っています。MotoGPマシンの開発ライダーもやっていますし、新型YZF-R1に関しても熟知していますので、優勝は間違いないでしょう」
ポル・エスパルガロ選手は、「鈴鹿8耐は自分たちライダーに取っては伝統あるレースで、ファクトリーチームとして走れることを誇りに思っています。新型YZF-R1はMotoGPマシンに近く乗りやすい」
ブラッドリー・スミス選手は、「以前から鈴鹿8耐に出させてくれと言っていて、ようやく夢が叶いました。100%仕上がっているので、みなさんの前で力強い走りを見せることができると思います。鈴鹿8耐は非常に暑いと聞いていましたので、38℃、湿度70%のお風呂に入って日々トレーニングしてきました。ガンバリマス!」
両選手とも鈴鹿8耐を楽しみにしている様子。両選手とも鈴鹿8耐は初参戦となるが、中須賀選手よりも一回り以上若いだけに、長丁場となる灼熱の鈴鹿でも体力は十分だろう。
ヤマハだけでなく、現在2連覇中のホンダ「MuSASHi RT HARC-PRO」も負けていない。2007年、2011年のMotoGPチャンピオンのケーシー・ストーナーが現役復帰し、鈴鹿8耐で2度の優勝を果たした時のメンバーである高橋巧選手、マイケル・フォン・デルマーク選手も揃い、3連覇を狙っているからだ。ホンダを抑えてヤマハが1996年以来の19年ぶりの優勝になるのか。鈴鹿8耐は84台がエントリーし、7月26日に決勝戦が行われる。(編集担当:鈴木博之)