経営再建中のシャープ<6753>は31日、2015年4~6月期の連結決算を発表。それによれば、液晶テレビや携帯電話の販売が落ち込んだことなどが影響して、最終損益は339億円の赤字と4~6月期としては5年連続で赤字となった。前年同期の17億円赤字から赤字幅が大幅に拡大することとなった。
売上高は前年同期比0.2%ダウンの6183億円であり、本業のもうけを示す営業損益は前年同期の46億円黒字から一転して287億円の赤字となった。スマートフォン(多機能携帯電話)用の液晶の在庫処理をはかるために、工場稼働を計画的に落としたことや、液晶工場や太陽電池工場の一部減損処理や米州(北米・中南米)テレビ事業の撤退関連などの構造改革費などが全体の業績の足を引っ張る形となった。
液晶テレビの国内販売は伸びたものの、欧州撤退とともに北アメリカでの大型販売が苦戦。さらには中国での市場低迷が影響したことなどにより、テレビ事業として4~6月期は赤字幅が拡大した。そして液晶事業も前年同期の21億円の営業黒字から137億円の営業赤字となった。スマートフォン用の液晶は中国市場の成長鈍化と競争の激化により販売が落ち込みをみせているほか、在庫処理のための工場の稼働を計画的に落としたことも影響した。なお、スマートフォン用液晶の計画的な生産調整は9月まで続く予定。
16年3月期の連結業績予想については、売上高で前年比0.5%アップの2兆8000億円、営業損益は前年同期の480億円の赤字に対して800億円の黒字、前期に2223億円の赤字を計上した純損益については未公開と、従来の予想のまま据え置いた。純損益については予想を開示していないものの、このままでは2年連続での最終赤字は避けられない見通しだ。
そしてシャープは同日、追加の構造改革として米州のテレビの生産・販売から撤退するとの発表を行った。16年1月にメキシコのテレビ工場を中国のハイセンスに約29億円で売却し、さらにハイセンスが現地で販売するテレビにシャープブランドを供与する。(編集担当:滝川幸平)