安保法案成立前に自衛隊の統合幕僚監部が成立後の部隊編成計画や部隊運用などの日程まで決めていたことが11日の参院安保特別委員会で明らかになった。
日本共産党の小池晃議員が防衛省統幕の内部資料を示し追及。中谷元防衛大臣は「国会の審議中に法案内容を先取りするようなことは控えなければならない。中身の運用とかの検討は当然、法案成立後に検討を始めるべきもの」と答弁。しかし、具体的質問に対し、かみ合わない大臣答弁に委員会は委員長判断で休憩入りした。
小池議員は内部資料には8月に安保法案成立。来年2月施行なども記されているとした。また南スーザンPKOについても「年明け2月からは新法制に基づく運用をするとなっている」とし、今年5月の時点ですでに南スーザンPKO活動延長の閣議決定もされていない(閣議決定されたのは今月7日)なかで、延長方針で、計画を進めていたことになる。
民主党の北澤俊美元防衛大臣は「防衛省の統合幕僚監部の資料が出て、大臣は知らなかったと述べた。大臣の目の届かないところで自衛隊の中枢である統幕が、国会の日程まで含めて先走りをしている。大臣の知らない所で動いていた。私も大臣経験者であるが、信じがたいことだ。大臣も責任を取ってもらわなければならないのではないか」と大臣責任を提起した。
志位和夫委員長は「法案成立を待たずに統幕が勝手な検討をするなど、まさに『軍部の独走』。大問題だ」とさらに追及の構えだ。
この日の質問で小池議員は「統合幕僚監部がすでに、新ガイドラインと安保法案を受けた今後の方向性の検討に入っていることをご存知でしたか」と資料を提示し、中谷大臣を追及。
小池議員は「内部資料では『運用面の調整を実施する、軍・軍間の、軍・軍間の調整所が設置される』となっている。軍・軍間って何ですか。自衛隊と米軍ですか。自衛隊、いつから軍になったんですか。軍・軍間の調整所なんて、ガイドラインにもない。しかも8月に法案成立と書いてある。来年2月から法施行など、克明な自衛隊の部隊編成の計画まで含めて出されているじゃないですか。こんなことを検討して許されるのか。戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。法案を撤回するしかない」などと追及した。(編集担当:森高龍二)