この国の外交・安保『真の指揮者は誰なのか』

2015年08月29日 10:25

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コラム欄で、安保法案はアメリカに頼まれて作ったとの疑いとのテーマで取り上げたが、第3次アーミテージ・ナイ・レポートはクリントン政権で国防次官補を務めたジョセフ・ナイ氏(ハーバード大学特別功労教授、国際政治学者)と元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏がまとめた。

 生活の党の山本太郎共同代表が参院安保特別委員会で「第3次アーミテージ・ナイ・レポート」の中身を取り上げ、安倍政権の取り組みと突合させ、列挙した。

 原発再稼働への政府の取り組み(原発再稼働の促進)、TPP交渉(早期妥結を急ぐ)、集団的自衛権の行使容認を図る憲法解釈変更(閣議決定)、解釈変更の閣議決定に基づく日米防衛協力指針(新ガイドライン)締結、ガイドライン実現のための安保法案への今国会成立への強い姿勢。レポートに記された内容と政府の対応が一体化する、この国の外交・安保はどちらを向いて動いているのか、『真の指揮者は誰なのか』と疑いたくなる現実が浮かび上がってくる。

 コラム欄で、安保法案はアメリカに頼まれて作ったとの疑いとのテーマで取り上げたが、第3次アーミテージ・ナイ・レポートはクリントン政権で国防次官補を務めたジョセフ・ナイ氏(ハーバード大学特別功労教授、国際政治学者)と元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏がまとめた。

 山本共同代表は国会でレポートの中身のいくつかを列挙した。「集団的自衛権の禁止は同盟にとって障害だと書かれている」と紹介し「政権は総選挙の公約を堂々と破り、これを実行している真最中だ」と述べた。

 また「提言8、日米間あるいは日本が保有する国家機密の保全。特定秘密保護法そのままだ。そのほかの12、日本の防衛産業に技術の輸出を働きかけるよう。これには防衛装備移転3原則で実現している」などなどだとした。

 山本議員はパネルを用いて「2・シーレーン保護、5・インド、オーストラリア、フィリピン、台湾等との連携、6・日本の領域を超えた情報・監視・偵察活動、平時、緊張、危機、戦時の米軍と自衛隊の全面協力、7・日本単独で掃海艇をホルムズ海峡に派遣、米国との共同による南シナ海における監視活動、9・国連平和維持活動(PKO)の法的権限の範囲拡大、11・共同訓練、兵器の共同開発。これらはほとんど全て今回のこの安保法制に盛り込まれたという話ですよね」と指摘した。

 この投げかけに、岸田文雄外相も、中谷元防衛大臣も「日米の新ガイドライン、安保法案はアーミテージ・ナイ・レポートを念頭に作成したものではない」(外相)「結果として、(政策・法案とレポートが)重なっている部分があるが、安保法制はあくまで主体的に作っている。レポートを念頭に作成したものではない」(防衛相)と否定した。

 しかし、政策とレポート内容がこれほどに重なる事実を偶然と呼ぶには不自然すぎると感じるのは山本議員と筆者だけか。

 これまでの政権下の政策と、このレポートとの関係性を検証することが必要だ。両閣僚ともに「自主的に作成した結果」とするが、なぜここまでことごとく符合することになるのか。この国の外交・安保『真の指揮者は誰か』という素朴な疑問を解消し、独立国としての立ち位置を実証するためにも、レポートと政策の検証や追求を山本太郎氏だけに任せてはいけない。(編集担当:森高龍二)