【今週の振返り】日米とも金融政策現状維持で194円下落した週

2015年09月19日 20:33

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今年の世界の金融マーケットの流行語大賞。それはアメリカの「9月利上げ」。東京でも3日続伸、466円上げて期待し、まぼろしに終われば362円安で連休入り。

 16日の日経平均は続伸。NYダウは228ドル高で大幅反発。ヨーロッパ市場は軒並み高で、自律反発に加え、3日ぶりの原油先物価格の上昇や、世界銀行が利上げが新興国に及ぼす悪影響を警告したのが効いた。小売売上高は+0.2%で2ヵ月連続プラスでも市場予測に届かず、鉱工業生産指数は-0.4ポイントで3ヵ月ぶりのマイナスで市場予測より悪く、NY連銀製造業景況感指数は-14.7で2ヵ月連続の減少と不振で、利上げに対するマーケットの見方はまだ五分五分で長期金利は上昇した。ドル円は120円台半ば、ユーロ円は135円台後半で前日夕方とあまり変わらない水準。CME先物清算値は18130円だった。

 日経平均は211円高の18238円で始まる。TOPIXもプラス。9時台は18200円前後の水準で小動きしていたが、10時前からにわかに上昇して10時8分に18291円の高値をつける。上海市場はプラスで始まりしばらく高値圏で推移したが、上海がマイナスになると10時40分すぎに18200円付近まで下落。その後はプラス圏は維持しても18200円台前半にとどまり、前引けは174円高の18201円。

 上海市場の午前の取引はわずかなプラスで終わったが、後場の日経平均は上げ幅を圧縮して18161円で再開し、午後0時42分に18095円の安値をつける。そこから徐々に値を戻して1時台後半には18200円にタッチするが、2時までの間に18150円付近まで押し戻される。2時に8月の訪日外国人客数が発表され63.8%増の181万7100人。1月からのトータルは1287万人で49%増。中国は前年8月の2.3倍の59万1500人で首位を堅持し、2ヵ月連続で50万人台。「上海株式市場の暴落、中国の景気減速で日本に来なくなり、『爆買い』もなくなるのでは」という心配を吹き飛ばした。その上海市場は午後プラスで再開するがすぐマイナスに落ちる。日経平均は2時14分に18094円まで下げるが、おおむね18100円台は維持。終盤は上昇しても18200円に届かず145円高の18171円で9月で初の続伸。11日の「まぼろしのSQ値」をやっと上回った。日中値幅は196円。TOPIXは2ケタポイント高。上海総合指数は欧米市場を喜ばせそうな4.89%高で終えた。

 前日は初値がつかなかったアイビーシー<3920>に10時39分、公開価格2920円の3.51倍の10250円の初値がついた。終値も11890円で最近はあまりなかったセカンダリー好調。ネットワーク監視というITインフラ関連の事業内容が「成長セクターの中の堅実銘柄」視された模様。

 日経平均終値は145.12円高の18171.60円、TOPIX終値は+10.36の1472.60。売買高は18億株、売買代金は2兆1520億円でFOMC前の様子見で薄商い。値上がり銘柄数は1032、値下がり銘柄数は728。上昇したのはゴム製品、空運、輸送用機器、機械、電気機器、非鉄金属など18業種。下落したのは電気・ガス、その他製品、パルプ・紙、小売、不動産、医薬品など15業種だった。

 17日の日経平均は大幅に3日続伸。上海市場の大幅高を受けてヨーロッパ市場は軒並み高。NYダウも140ドル高で続伸。最大の要因は5%超の急上昇をみせ終値は47.15ドルだった原油先物価格で、ビール大手のM&Aの話題も株価を後押し。金先物は反発した。アメリカ長期金利も1ヵ月ぶりの2.3%台。消費者物価指数(CPI)は-0.1%だった。FOMCの利上げに対し懸念のコメントを出したOECDが世界経済見通しを下方修正し、2015年の成長率は+3.0%。ドル円は120円台後半、ユーロ円は136円台前半。CME先物清算値は18345円とやや高くなった。

 S&Pが日本国債をダブルAマイナスから1段階引き下げて「シングルAプラス」とした。中国、韓国より下でアイルランドと同格。取引開始前に発表された8月の貿易統計は5697億円の赤字で、赤字幅は市場予測の6200億円より少なかったが、5ヵ月連続の赤字。日経平均は190円高の18361円で始まる。TOPIXも2ケタ高でスタート。午前9時台のうちに18400円を突破し18400円台半ばまで上昇する。10時台もしばらくは18400円を少し超える水準で小動きするが、上海市場がマイナスで始まると18400円を割り込む。為替のドル円も円高が進行し、11時台はさらに下落して18300円も割り込んで11時26分に18289円まで下落する。前引けは152円高の18323円だった。

 昼休みに日経平均先物が上昇し後場は18400円近辺で再開。しばらく18400円のやや下で推移するが、午後1時台後半には18400円台に乗せる。ドル円相場は前場と反対に120円台後半で円安が進行し、上海市場もプラス圏維持。2時台の日経平均はにわかに上昇して2時15分に18468円の高値をつける。アメリカの利上げで円安・株高になる期待なのか証券株が高い。終盤に売り込まれ18400円台が一時危うくなるが、最後は上昇して260円高の18432円で終了。3日続伸して終値は驚異の1343円高の9日以来の高値になった。しかし上海総合指数はその後、終盤に急落を喫して2.10%安で終えた。

 新規IPOが1件。旅行雑誌「旅色」、ペット雑誌「PAPPINE」など電子雑誌の出版事業を手がけるブランジスタ<6176>が東証マザーズに新規上場。公開価格450円に対し10時18分、43.7%高い647円の初値がつき今週の3件を含めて9月の6件を全勝で締めくくった。8月31日以来7連勝で、8月下旬の1勝2敗1分から持ち直した。

 日経平均終値は260.67円高の18432.27円、TOPIX終値は+19.31の1491.91。FOMC前の様子見で売買高は19億株と20億株に届かず、売買代金は2兆2246億円。値上がり銘柄数は1500、値下がり銘柄数は302。上昇したセクターは証券、鉄鋼、情報・通信、その他金融、電気機器、鉱業など30業種。下落したセクターは医薬品、精密機器、陸運の3業種だった。

 18日の日経平均は4日ぶり大幅反落。今年最大のグローバル経済イベント、9月のFOMCの結果は金融政策現状維持つまりFF金利の利上げはなし。FRBのイエレン議長は記者会見に姿をあらわして年内利上げには含みを持たせた。景気、雇用の良さは評価しながらも、インフレ率が目標の2%を大きく下回っているのが決め手らしく、最近の世界経済の動向を挙げ「インフレへの下押し圧力が強まっている」と述べた。FOMCメンバーの政策金利見通しも下方修正された。

 FOMCの陰で8月の住宅着工件数は3%減、フィラデルフィア連銀の製造業景況感指数は+6.0の市場予測に対しプラスとマイナスがそっくり入れ替わる-6.0で、8月の+8.3から予想外の大幅悪化。NYダウは利上げ見送り発表後は200ドル近く上昇したが、終盤は急速に下げ65ドル安で3日ぶりに反落した。S&P500はマイナスでもNASDAQはプラス。原油先物、金先物は下落し、アメリカの長期金利は低下した。為替はドル安が進行しドル円は120円近辺、ユーロ円は137円台前半。CME先物清算値は18160円だった。