前々週末、まるで疫病神のような「買われすぎ」シグナルが2つ出ていたオシレーター指標はどうだろう。騰落レシオは118.5で買われすぎ判断ラインの120に接近したが、25日移動平均乖離率は+1.6%とまだ低い。RSI(相対力指数)は55.5だが、RCI(順位相関指数)が+59.4で買われすぎ判断ラインの+50を超えた。前々週までの6連騰があったのでサイコロジカルラインは9勝3敗で75%と高い。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は60.6、ボリュームレシオは63.6。買われすぎシグナルは1つに減ったが、水準高めの指標がちらほら見られる。
今週は、需給は株価を少し後押し、テクニカル指標は移動平均線などトレンド系は少し後押しでもオシレーター系は中立というところで、上昇の余地はまだあるとみる。上値抵抗線としてまず考えられるのが18400円プラスマイナス各50円の水準で、10月の11営業日中、18350~18450円のゾーンで高値をつけて下に押し返された日が、16日も含めて6日もある。ボリンジャーバンドの25日線+1σの18386円も中に入っているこのゾーンを突破できないと「雲タッチ」も、19000円タッチも望めない。しかし今週は「決算発表待ち」や「日銀会合待ち」の様子見ムードも出てくると思われるので、このゾーンを突破できてもせいぜい雲タッチ(18637円)ぐらいまでで、それも1日限りだろう。
一方、下値のサポートラインは25日線の17996円付近が手堅い。前週は14日に18000円を大きく割り込んだが、本来はそこは心理的な節目で、前々週の6~9日は日中の値動きで防衛線として機能していた。オシレーター系指標を見ても、下げてここまでだろう。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは18000~18650円とみる。
前週は、ノーベル賞発表も日銀会合もSQも小売業大手の決算発表もみんな通過して少しは落ち着くかと思えば、日経平均は-203円、-343円、+205円、+194円と相も変わらぬアップダウン。9月17日以降の1ヵ月で、騰落が3ケタでなかった日は10月2日の1日しかない。皮肉にも夏の金融マーケット大混乱の震源地、上海市場のほうが値動きが安定している。「ハレとケ」という柳田民俗学発祥の言葉があるが、最近の株式市場に即して言えば大幅高、大幅安のハレばかりで、「日柄調整」のようなケの日がまるでない。
しかし、「なんでもない日おめでとう」と毎日お茶会をしているような非日常のハレばかり続いては、身がもたない。市況解説の定番クリシェイ(紋切型表現)で言えば「方向性が定まらない」ケの日でもそれなりに、時間が経過してテクニカル・ポジションが改善するという〃無用の用〃があるのだが……。「ぼくたちの生は二種類の瞬間の連続と言える。輝かしい昂揚の瞬間と、沈滞したむなしく流れる瞬間」(ミシェル・ビュトール『時間割』清水徹訳)(編集担当:寺尾淳)