「家事の救世主」となる予定だった食器洗い乾燥機だが、日本では海外ほど普及していない。マイボイスコムが実施したアンケートの結果では所有率は28.3%だったという。そして「今後も使いたい」と考える人も45%にとどまっている。なぜなのだろうか?
料理をして、食事を楽しむ。その後はゆっくりくつろぎたいものだが、台所の流し台を見ると、そこには大量の食器・鍋類がある。このような「洗い物地獄」と毎日格闘している家庭は多いはずだ。
そこで登場するのが食器洗い乾燥機、通称、食洗機である。一般家庭用の食洗機が市場に出回り始めてから久しいが、海外ほど普及していないのが現実だ。
インターネット調査を行うマイボイスコムが昨年、実施したアンケートによれば、日本での食洗機の普及率は28.3%と出ている。電化製品には定評のある日本が、なぜ低い普及率にとどまっているのだろうか。
まずは食洗機所有者の使用頻度についてのアンケート結果を見てみると、一番多いパーセンテージを占めたのは「1日に1回程度」の33.6%である。次いで、「1日に2回程度」が18.9%だ。そして「1日に3回、毎食ごと」に使用している所有者が7%。計59.5%が毎日食洗機を使っているのだ。低い普及率の原因には「購入したものの、結局出番は多くはなかった」というものが入りそうだが、半数以上がしっかり利用している。
しかし、同社が2009年に実施したアンケート内では「今後も食洗機を使用したいか?」との質問に対し、「ぜひ利用したい」「やや使いたい」と答えたのは45%に過ぎなかった。
結局何らかの不満を抱えながら使っていることになるが、その不満の内容の結果は、「特異な形や大きな食器が洗えない」が52.5%と最も多く、「洗えない素材のものがある」が34.8%、他に、30.4%が「少量洗うのはかえって効率が悪い」と回答している。
大きな食器は育ち盛りの子供がいる家庭では食卓の必須アイテムだが、その食器が洗えないとなると食洗機の必要性も低くなる。そして陶器、木製、プラスチック製など、素材によって洗えるものが限られるという点も食洗機のデメリットの一つだ。
一方、海外、特に欧米圏で食洗機は一般家庭に広く普及しており、その洗える容量も日本より大きい。鍋類も中サイズのものならば2つほどを他の食器とともに一度で洗えるものが多い。さらに日本メーカーのものよりも、水の使用量が少なくて済むことも長所だ。
欧米圏でははじめからキッチンに食洗機が備え付けられている物件が多いことも、食洗器の高い普及率の背景にあるだろう。
なるほど、この結果だけを見て海外メーカーの食洗機を日本の家庭に導入すれば、現在の食洗機に関する不満はほとんどなくなりそうなものだが、問題はそれほど簡単に片づけられるものなのだろうか。
そもそも海外と日本では当然のことながら食文化の差がある。小皿、小鉢を頻繁に使い、欧米と比較すると日々頻繁に料理をすることが多く、そしてお箸やお椀、箸置きをとってみても素材に種類がある。一度の調理で使用する鍋類、食器が多いので洗い物もこまめにしなければならない。
結局、日本人は食洗機に不満を感じつつも、自分たちの食文化に一番適した食器洗いの方法を自然と取っているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)